リスクを低く抑えるために重要なことは?

身も蓋もないことを言ってしまうと、投資は元手となる資金が大きいほど効率よく増やすことができて有利です。資産家であればわざわざテンバガーを目指さなくても、年数%の利益を取るだけでお金はどんどん増えていくので高いリスクを冒す必要はなく、運用の難易度も低いです。

しかし、わずかな資金を1年で10倍にしたいと思えば、高いリスクを冒さなければなりません。リスクを冒しすぎれば、当然資金を失う可能性も高くなります。失敗して資金を失えば、元手資金がなくなるので再チャレンジもできなくなります。

リスクを低く抑えるために重要なことは、目標を高く置きすぎないことと、元手となる資金をある程度、用意することです。無理のない株式投資をするなら最低でも100万円の元手をつくったうえで、目指す利益も年間10~30%程度に抑えることで、リスクを冒しすぎない投資が実現します。テンバガーを目指す場合も、5年程度は時間をかける覚悟が必要です。

元手がないのであれば、まずは投資をするより資金を貯めることが先決です。株で10万円を100万円にするよりも、貯蓄で100万円を貯めてから株で1,000万円を目指すほうがはるかに難易度は低いのです。

また、初心者は信用取引もしないほうがいいでしょう。僕の投資法を参考にする場合も、十分な経験を積むまでは必ず現物株で行ってほしいと思います。レバレッジをかけて元手資金を上回る額の取引ができる信用取引は、少しの値動きでも損失がどんどん膨らんでいってしまい、資金以上の損失を被ることもあります。値動きに慣れていないうちに手を出すのは厳禁で、そんなことをすれば株式市場から一発退場させられることになります。

実際に株で破産する人の多くは、信用取引が引き金になっており、大きく分けて以下の2つのパターンがあります。

ひとつは、現物株を担保に信用2階建て、信用3階建てで取引するパターンです。たとえば100万円しか持っていない人がその100万円で現物株を買い、それを担保にして同じ銘柄を信用取引で200万円分買うことです。もし、株価が急激に下がると、追証といって追加の資金を求められます。それが用意できなければそのポジションは大きな損失が出た状態で強制決済されるため、口座の残高がゼロになるだけでは済まず、マイナスになってしまうこともあります。

そしてもうひとつが、上昇相場での空売り(信用売り)です。現物株は手元の資金で株を買うか、買った株を売るしかできませんが、信用取引では買っていない株を借りてきて売ることができ、その株が下落すればするほど利益になります。株価はゼロより下がることはないので信用買いの損失には上限がありますが、上昇には限界がないため空売りの損失は理論上無限大になってしまいます。

長期投資と短期売買を組み合わせる僕の投資法は、現物株投資だけでも可能です。少なくとも、現物株投資だけやっている分には株で破産するようなことはないので、必要以上に欲を出してはいけません。僕自身、信用取引を始めたのは投資歴が10年を超えてからで、それでもはじめのうちは損失を出しました。コンスタントに利益を出せるようになったのは、ここ5年ぐらいです。

信用取引を手がける場合は慎重に、必ず余裕資金の範囲で、株式投資にもある程度慣れてからにしてください

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