より早く資産形成したい場合の選択肢として挙げられる「個別株投資」。ハイリスク・ハイリターンの側面はあるものの、「リスクを低減する方法はある」と、投資研究家の児玉一希氏は言います。児玉氏の著書『株式投資2年生の教科書』より、詳しく見ていきましょう。
「より早い資産形成」を目指すなら〈個別株投資〉がおすすめだが…リスクヘッジのために必ず押さえておきたいこと【人気投資家YouTuberが解説】
「売り時」は”シンプルな基準”で見極める
【ポイント5】投資する理由を決めて、それが覆ったら売る
投資で最も難しいのが「売り時」。はっきり言って、明確な答えはありません。ファンドで何千億円も運用するような歴戦のプロでも、売り時のよい判断はなかなかできないものです。
もしあなたが個別株投資を1年以上していれば、保有株が急上昇して「まだ上がる!」と思いながら、欲張ったその時が天井でズルズルと株価が下がり、結局利益を取り逃がしてしまったという経験が一度はあるはず。
ただ、株の売却タイミングはいくらであっても利益になっていれば成功だと思います。デイトレで小さな値幅を取りたいのか? 長期で大きく伸ばして利益確定したいのか? 時間軸によっても基準が変わりますし、あまり頭を悩ませないほうがいいです。
それよりも私が売り時の基準として勧めるのは、次の通り。
・「投資した理由」があり、それが変わらない限りはひたすら保有
・ただし、その投資した理由という前提条件が覆ったら売る
という極めてシンプルなもの。
その時に利益が出ているか、損切りになるかは関係ありません。理由が覆れば、問答無用に「売り」の一択です。
例えば、
・高配当を理由に買ったのに減配になった
・急成長企業だったが業績の成長が鈍化した
・新型コロナ発生時の航空や石油のように、事業環境が悪化し成り立たなくなった
・高値越えのチャートの形をしていたが、下落した
・思わぬ不祥事が出た
・思いがけずその銘柄の注目度が上がり、急上昇した
など、あなた自身が思い描いたプランと違ったことが起きた時に、株を売却し現金化します。利益確定でも損切りでもなく、大事な資金を株から「撤収」させるイメージです。
結果的に間違っていても、「自分で考えてその通りに株価が推移したか?」というPDCAを回せます。そのため、仮に損切りになったとしても、次の投資に活かせるでしょう。
このように「投資する理由」を考えるようにすれば適当に買いませんし、高値掴み(相場の高いところで買ってしまい、その後、値下がりすること)を防げる確率も上がります。
児玉 一希
株式会社RES
代表取締役