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総合住宅展示場「ハウジングステージ」の『モデルハウス見学(
日本の「住宅の寿命」は平均32.1年
日本の住宅の寿命はどのくらいか考えたことはあるでしょうか。
国土交通省の調べによると、2008年~2013年の間に滅失登記をされた住宅の築後年数のデータがあります。分かりやすく言うと、解体された建物は築後何年経過していたかという統計です。それによると平均32.1年で解体されたことがわかります。日本の住宅が解体されるまでの年数は短いのです。
国土交通省の『令和3年度住宅市場動向調査報告書』によると、住宅の一次取得者(初めて家を買う人)の平均年齢は40.0歳です。一次取得者のうち46.5%は30代、13.6%は20代。全体の6割は20代~30代が占めています(注文住宅の場合)。
もし32歳の人が住宅を購入し、32年で解体したとすると、その時の年齢は64歳ということです。定年退職と同時に住む家を失うのです。国土交通省の調べでも、二次取得者(家を買い替える人)の平均年齢は59.9歳となっています。
老後に自宅の建て替えをするとしたら、無職の状態で住宅ローンを借りることは可能でしょうか。仮に可能だとして年金生活の中で住宅ローンを返済するライフプランは成り立つのでしょうか。事例を交えながら、定年後の住宅購入について考えていきたいと思います。
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築30年の自宅を建て替えたい「61歳・Tさん」の場合
「もうこの家に住むのはしんどい……」住み替えたいTさん(61歳)
昨年、勤め先を定年退職した61歳のTさん。2,500万円の退職金をもらい、普通預金に1,500万円、ご夫婦の生命保険に現時点で1,400万円の解約返戻金が貯まっています。合計5,400万円の蓄えを持っています。
1990年代の初め、Tさんが31歳だった時に購入した建売住宅はわずか30年でボロボロです。子どもの大学資金が想定以上に高額だったために、屋根と外壁のメンテナンスを後回しにしたせいです。外壁はひび割れ、屋根は雨漏りが絶えない状態です。ショックを受けたのは、数年前から羽アリを見かけるようになったこと。床下の防蟻処理も行っていないため、シロアリが繁殖しているのは間違いありません。
建物の老朽化以上に、家の間取りがTさん夫婦にとって苦痛になっています。数年前に妻のEさん(61歳)が階段で転び大けがをしたのです。寝室が2階にありながらトイレは1階にしかなく、夜中に起きたEさんが踏み外して骨折してしまいました。それ以来調子が悪く、リビングにベッドを置いて寝るようになりました。クローゼットが2階にありますが衣類を取りに行くことが出来ません。生活に必要なものをすべて1階のリビングに集めたところ、足の踏み場もない状態です。
4歳の可愛いお孫さんがいますが、自宅の煩雑ぶりを見た息子さんが生活用品の雪崩で子どもがけがをすることを恐れ、遊びに来なくなりました……。
「この家はもうだめだ……」と思ったTさん、自宅の建て替えを計画します。しかし5,400万円の金融資産があるものの、解体費を含めた建て替えの見積もりは約3,000万円。それを払うと、残り2,400万円のうち1,400万円は保険を解約しなければ現金が手元に来ません。今すぐ使えるお金はわずか1,000万円です。妻のEさんは長年専業主婦だったため、老齢年金は高くありません。Tさんが妻よりも先に亡くなった場合、身体の不自由な妻は十分な生活を送ることは出来るでしょうか。
年金だけの収入では住宅ローンを借りることは難しい
公的年金だけの収入であっても、フラット35であれば融資を受けられる可能性があります。ただし問題は融資してもらえる金額の上限です。
返済負担率という考え方があり、年間の返済額が年収の一定割合に収まっている必要があります。たとえば年金収入が年間300万円であれば、返済負担率は30%です。ここから計算すると、返済期間15年の場合、約1,200万円の借入が上限です。
1,200万円とはいえ、金利が1.5%であれば毎月の返済額は約75,000円。現役世代に匹敵する返済額を抱えるのは老後生活の中で恐怖感があると思います。
60歳以上の方のために住宅金融支援機構の「リ・バース60」という住宅ローンもあります。これは毎月の支払いは利息だけでいい代わりに、債務者が死亡したあとは遺族が一括返済をするか、建物と土地を売却することで完済するという新しい仕組みです。
しかし先述のTさんの場合、この仕組みを使うとTさん亡き後で奥様の住まいが失われてしまいます。息子さんにとっても実家を失うことになるので賛同を得るのは難しいでしょう。
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老後に備えて、いまできることとは
今から住宅購入をする30代の方がすべきことは、
・一生のメンテナンス費用を考慮して資金計画を決めること
・一生のメンテナンス費用の計画を業者に出してもらうこと
・一生住める寿命・耐久性のある建物であること
・高額な交換費用の掛かる設備を少なくすること
・身体が不自由でも生活しやすい間取りであること
などが挙げられます。耐久性がある建物に、さらにメンテナンス費用を投資して維持をしていくことが家計の安定に繋がります。
急激に建築価格が高騰し続けている現在ですが、30年後には住宅価格がどうなっているか想像もつきません。目先の「値段の安さ」にこだわってしまい、狭小な間取りでかつ耐久性のない家を買ったら、老後は住む場所を失うかもしれません。
高性能を謳う建物でも、高額な設備の交換が定期的に出来なければ意味がありません。建物には必ずメンテナンス費用がかかります。子どもの教育費や老後のための資産運用と、住宅ローンの返済とメンテナンスの繰り返しの費用が両立できなければ、いずれ家計は破綻します。
特に男性はC値、UA値、耐震等級などの性能数値に意識を奪われますが、あくまでも新築時の数値に一喜一憂してはいないでしょうか。その性能が何十年後も長持ちするのが、本当の「性能」だということを忘れないようにしたいものです。
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