本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。日本人は先進国のなかでも、募金や社会貢献活動への関心が比較的低い国民と言われてきました。しかし、東日本大震災をはじめとするたび重なる災害において、現地で活動するボランティアの様子がSNSなどで詳細に発信されたことで、ボランティアや社会貢献活動は日本国民にとって、以前より身近になりました。さらに、クラウドファンディングというフィンテックの登場により「スタートアップ企業への投資」「非営利団体への募金」などに興味をもつ人、実践する人が急増しました。この記事では、クラウドファンディングとは何なのか、種類やメリット・デメリットなどについてもわかりやすく解説します。
“募金”後進国の日本を変えた!「クラウドファンディング」活用の可能性 (※写真はイメージです/PIXTA)

クラウドファンディングのメリット・デメリット

クラウドファンディングを始める前に把握しておきたいのがメリット・デメリットです。起案者、支援者に分けてまとめておきます。

 

▶起案者のメリット

・プロジェクトに挑戦する幅が広がる

オンラインで誰でも手軽に資金調達できるため、資金調達が難しかった大きなプロジェクトにも挑戦できます。

・テストマーケティングできる

自社商品を販売したり、イベントを行ったりする前に市場の反応を見ることができます。反応がよければ、ファン獲得や宣伝効果も期待できます。

 

▶起案者のデメリット

・資金調達できない可能性がある

目標金額に達成しなかった場合、労力がムダになります。目標金額に達成したとしても、手数料が10~20%かかることや、支援者へのリターンを含めた設定でないとマイナスになる場合があります。

・アイデアが盗まれる恐れがある

多くの人に知られることになるため、アイデアが盗まれる可能性があります。先に商品化され、コピー商品が市場に出回ってしまうと大きな損害になります。

 

▶支援者のメリット

・少額からの支援が可能

プロジェクトによっては、プレミアム感が強いリターンがあります。

・気軽に社会貢献できる

オンラインから気軽に社会貢献でき、寄付金控除が受けられる場合があります。

・高い利回りが期待できる

投資タイプの場合、普通の金融商品以上の利回りが期待できます。

 

▶支援者のデメリット

・キャンセルできない

気持ちが変わったとしてもキャンセルできない場合が多いです。

・資金の使途明細の確認が難しい

資金が正しく使われているか、詳細を確認することができません。

・元本割れのリスクがある

投資タイプの場合、利回りによっては元本割れになるリスクがあります。

 

起案者がクラウドファンディングを検討する場合、サイト選びが重要です。プロジェクトとの相性はもちろん、どのサイトを選べば支援が集まりやすいのかを検討するといいでしょう。支援者はプロジェクトやリターンの内容を確認するのはもちろんですが、どのサイトに応援したいプロジェクトが集まりやすいのかをチェックしておくといいでしょう。

 

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桃山透
フリーランスライター。1968年、大阪府生まれ。ビジュアルリテラシー(東京支部)所属。大学卒業後、金融系会社の営業、コピーライター、出版社の編集者、業界新聞の編集長を経て、独立。主にビジネス書、実用書、医学書関連の執筆・編集・監修に携わる。得意なジャンルは整理術、手帳術で、著書に『サクッと1分間 整理・ファイリング術』などがある。