※画像はイメージです/PIXTA

評価額10億ドル、設立10年以内の非上場ベンチャー企業「ユニコーン企業」。米国や中国を中心に、世界中で増加しています。一方日本のユニコーン企業数は 2022年2月時点で6社と、米国の554社、中国の180社と比べて圧倒的に少ない状況です(CB Insights「The Complete List Of Unicorn Companies」より)。そこで注目されるのが、ベンチャー企業の成長を応援する株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」。同サービスを運営する株式会社FUNDINNOのCMO、向井純太郎氏に伺いました。

日本で「ユニコーン企業」が生まれないワケ

米国や中国を中心に、世界中で増加する「ユニコーン企業」。なぜ日本では増加の兆しがみられないのでしょうか。向井氏によれば、その背景にはいくつかの要因が考えられるといいます。

 

向井氏「そもそも起業家が少ないことがあげられます。大きな理由として、日本において、身の回りに参考となるべき起業家が少なく、大企業への就職を希望する人が多いです。リスクをとるのをなるべく避けるという国民性があるかもしれません。これでは起業家が育つ土壌がなかなか形成されません。

 

株式会社FUNDINNO CMO 向井純太郎氏
株式会社FUNDINNO CMO 向井純太郎氏

 

さらに、日本では多くの家計のお金は現金および預金で構成されています。貯金されたお金は融資として使われるのですが、融資の場合、金融機関は返済を前提にお金を貸すため、融資対象の事業が黒字でない場合、なかなか貸すことができません。貸すことが難しい融資文化が根づいていることも、ユニコーン企業が増えない理由のひとつです。

 

そのような融資文化になじんだ日本の投資家にとって、リスク覚悟のうえでベンチャー企業に提供する資金、いわゆる「リスクマネー」を供給するのはハードルが高いのです。

 

実際、2021年度のベンチャー企業への投資額をみてみると、日本は約8,000億円。これは過去最高額でしたが、それでも米国の約38兆円という規模に比べると、その差は歴然です」

 

リスクを嫌う国民性や根強い融資文化などが、ユニコーン企業の誕生を阻み、世界から差をつけられている日本。私たちが必ずしも米国をお手本にする必要はないかもしれませんが、それにしてもリスクマネーへの供給量が少ないと言わざるを得ません。しかし、当社が提供する「株式投資型クラウドファンディング」により、ベンチャー企業へ投資を行うための環境が整ってきています。

個人のベンチャー投資を可能にした衝撃の仕組み

では、この「株式投資型クラウドファンディング」とはいったいどのような仕組みなのでしょうか。

 

向井氏「そもそも、これまでの日本ではベンチャーキャピタルのようなプロ投資家や、起業家に出会う事のできた一部の富裕層を除けば、未上場企業に投資するという機会はほとんど皆無でした。そうしたなかで2015年に創設されたのが『株式投資型クラウドファンディング』です。

 

一般的にクラウドファンディングとして知られるのは、モノやプロジェクトに出資しリターンを得る『購入型』や、文字通り寄付を行う『寄付型』などです。対して株式投資型は、非上場株式を発行し、インターネットを通じて多くの人から少しずつ資金を集めるためのクラウドファンディングで、投資家がクラウドファンディング事業者に投資を行い、起業家に出資するという仕組みになっています。

 

[図表1]クラウドファンディングの種類

 

 

こうした新たなタイプのクラウドファンディングを活用する形で、日本で初めて株式投資型クラウドファンディング・サービスを開始したのが『FUNDINNO』です。

 

『FUNDINNO』で投資できるのは、1銘柄あたり10万円程度から最大50万円まで。通常ベンチャー投資というと数百万円〜数千万円という規模になりますが、少額からの投資が可能になっています。また、起業家側が調達できる資金も1億円までと定められています。

 

投資家・起業家ともにインターネットから申し込むことで『FUNDINNO』を活用することができますが、いずれの場合でも審査を通過している人のみが対象となります。投資家の場合は、投資経験があることなどが条件となります。

 

起業家に関しても、成長性や財務面、健全性などをさまざまな基準をもとに厳正に判断されます。そうして厳選されたベンチャー企業には、ITから食まで多種多様な顔ぶれが揃っています。成長企業に投資をして、なかには数年で10倍以上のリターンを得た投資家もいます。また『FUNDINNO』では、東京以外に本社を置く地方の企業が4割と多いことも特徴です。ただし、4%程度の倒産解散事例もあり、当然ながら相応のリスクには留意が必要です」

昨年新たに開始された「FUNDINNO MARKET」

「FUNDINNO」に加えて、新たに「FUNDINNO MARKET」というサービスも展開されていますが、こちらはどのようなサービスなのでしょうか。

 

向井氏「これまでのベンチャー投資には、長期保有が前提ですぐに換金ができないという難点がありました。日常的に売買できる上場企業の株式とは異なり、未上場株は扱っている市場がほとんどなく、投資したとしても、売却するにはその会社が上場するまで5年10年と待つ必要があります。この点でも、未上場株を売買できるマーケットが整っている米国との違いが顕著になっています。

 

[図表2]米国(左)と日本(右)のマーケット構造イメージ図

 

 

このような状況を受けて、2021年末よりスタートしたのが『FUNDINNO MARKET』です。『FUNDINNO MARKET』は、日本証券業協会が提供する『株主コミュニティ制度』を活用したもので、インターネットでベンチャー企業の株式を売買できる日本初のマーケットです。

 

『FUNDINNO』は買い注文のみであるのに対して、『FUNDINNO MARKET』では売買どちらも可能。これまでのクラウドファンディングでは株式の出口がIPO/EXITにとどまり、流動性が乏しいという問題がありましたが、新たな市場の創設によって、日本におけるベンチャー投資の普及・発展に寄与できると考えています。

 

さらに、弊社では今夏より大口投資サービスを開始する予定です。投資可能上限額は投資先によりますが数百万円~数千万円を予定しています。また、あわせて個人投資家だけでなく、法人の参加も可能になるため、投資家のすそ野が広がり、マーケットが拡大するなかで収益獲得のチャンスも増えていくことが見込まれます」

 

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ベンチャー投資を促進…「エンジェル税制」のメリット

投資可能上限の増額や法人投資家の参入など、「FUNDINNO」によるベンチャーマーケットの拡大は、ベンチャー投資家にとって大きなメリットだといえそうです。

 

さらに、日本政府もベンチャー投資促進に動いており、令和2年度に「エンジェル税制」を制定。この税制により、ベンチャー企業へ投資を行った個人投資家は税制上の優遇措置を受けることができるようになりました。『FUNDINNO』でもこれまで100件を超えるプロジェクトにエンジェル税制が適用されています。

 

向井氏「エンジェル税制は、ベンチャー企業への投資を促すために生まれた制度です。この税制の対象となる企業に投資した場合、投資した金額に応じて税制上の優遇措置が受けられるという仕組みです。

 

エンジェル税制には優遇措置Aと優遇措置Bがあり、適用対象となる企業の設立年数などで控除できる金額と控除対象となる科目に違いがあります。

 

まず優遇処置Aは、設立5年未満の企業への投資が対象となり、対象企業への投資額マイナス2,000円をその年の総所得金額から控除できます。また、控除対象となる投資額の上限は、『総所得金額×40%』と『800万円』のいずれか低いほうです。

 

つぎに優遇措置Bは、設立10年未満の企業への投資が対象となり、対象企業への投資額全額をその年の他の株式譲渡益から控除できます。なお、控除対象となる投資額の上限はありません。

「次世代の日本をけん引する企業」を育てる面白味

エンジェル税制や、当社が提供する株式投資型クラウドファンディングなどにより、日本でも徐々にベンチャー企業へ投資しやすい環境が整ってきているように感じます。それでは最後に、ベンチャー投資の魅力をお聞かせください。

 

向井氏「魅力としては大きく2点を挙げることができます。まず1つめは、距離感です。上場企業への出資と違い、自身の出資額による影響度ははるかに高くなります。場合によっては起業家より助言や助力の依頼があるかもしれません。その際、ご自身の協力がその企業の発展につながるかもしれないのです。これまで一部の富裕層やプロ投資家しか投資できませんでしたが、官民一体となって未上場株式の『民主化』に急ぎ取り組んでいるため、今後ますますマーケットの整備、拡大が進んでいくでしょう。

 

そして2つめは、自分が投資したベンチャー企業が『世界を変革する可能性を秘めている』ということです。自らの投資がきっかけとなり、まだ世界に存在していない商品・サービスが生まれるかもしれない……これがベンチャー投資の醍醐味です。

 

ベンチャー投資において、もちろん自分のお金を増やすということも重要ですが、とくに富裕層の方には『次世代の日本をけん引していく企業に寄りそう​投資』という視点も持っていだたくと、投資がより面白く、奥深くなると思います」

 

ベンチャー企業への投資は、世界を変革する可能性を秘めている
ベンチャー企業への投資は、世界を変革する可能性を秘めている

 

 

向井 純太郎

株式会社FUNDINNO

CMO

 

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