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受益者連続信託に関する権利の評価と課税方法
相続税法では受益者連続信託がより広く定義相続税法上、受益者連続信託は、以下のように定義されています。 相続税法9条の3●信託法91条に規定する信託●同法89条第1項に規定する、受益者指定権等を有する定めのある信託●その他、相続税法施行令1条の8で定める信託(下記) 相続税法施行令1条の8●受益者等の死亡その他の事由により、当該受益者等の有する信託に関する権利が消滅し、他の者が新たな信託に関する権利を取得する旨の定めのある信託(信託法91条に規定する…
信託受益権を贈与したときの課税はどうなるのか?
受贈者に対して贈与税が課税される信託受益権は贈与できます。例えば、委託者兼受益者であった父が受益者を長男に変更した場合、その変更により、長男は当初の受益者であった父から贈与により信託受益権を取得したものとみなされて贈与税が課税されます。この場合における信託受益権の価額は、信託財産である不動産の相続税評価額により評価します。 例えば、信託財産である不動産の簿価が1000万円で、時価が3000万円、相続税評価額が2000万円だとすると、長男は2000万円の…
信託受益権を売買したときの課税はどうなるのか?
信託受益権を売却して得た利益は課税対象信託受益権は売買できます。では、それを売買したときの課税関係はどうなるのでしょうか。 まず、売った側ですが、信託受益権を所有する者は信託財産に属する資産及び負債を有するとみなされ、信託財産から生ずる収益について課税されることになるわけですが、信託受益権を売却して得た利益についても、自らが所有する不動産を売却して得た利益と同様のものとして扱われ、その利益について所得税(法人の場合は法人税)が課税されま…
信託財産への課税はいつの時点で発生するのか?
税法上は財産を所有する者とはみなされない受託者委託者が受益者である自益信託ではなく、例えば委託者が自分の子どもや孫を受益者と定めた他益信託の場合には、信託の効力が生じた時に受益者に対して贈与税が課税されます。 一般に、財産の所有権が移転した場合には、その移転を原因として、個人であれば所得税もしくは贈与税、法人であれば法人税が課税されます。しかしながら、信託においては所有権は受託者に移りますが、受託者は財産の管理等をするだけの存在ですから…
信託財産にかかる税金は誰が支払うのか?
信託財産から発生する収入や費用は受益者に帰属信託における税法上の基本的な考え方は、受益者が信託財産を所有しているとみなして取り扱います。信託財産として財産が信託会社等の名義に移転された場合、信託財産の所有権は受託者(信託会社等)が有することにはなるものの、税法上は原則として、受益者が信託財産を有するものとみなして考えることになっています。 そのため、信託財産から発生する収入や費用は、受益者に帰属するものとされ、その信託財産から生じる利益…
信託契約の内容を変更する際のルールとは?
契約の変更には委託者・受託者・受益者の合意が必要信託契約の内容を変更する場合は、原則として、信託契約に関わる当事者全員の合意が必要であり、かつ、変更後の信託行為の内容が明らかにされていなければなりません。その信託の変更についての決まりが信託法149条1項で定められており、その条文は以下の通りです。 「信託の変更は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。この場合においては、変更後の信託行為の内容を明らかにしてしなければならな…
信託の受益者が持つ「受益権」とは何か?
受益権は受益債権とその債権を守るための権利の総体受益権は信託法条7項によって2種の権利の総体であると定義づけられています。 その内容は以下の通りです。 「この法律において『受益権』とは、信託行為に基づいて受託者が受益者に対し負う債務であって信託財産に属する財産の引渡しその他の信託財産に係る給付をすべきものに係る債権(以下『受益債権』という。)及びこれを確保するためにこの法律の規定に基づいて受託者その他の者に対し一定の行為を求めることができ…
信託の受託者に課せられる「禁止事項」とは?
委託者、受益者が不利になる行為は基本的に禁止忠実義務を具体化した禁止事項のひとつが利益相反行為の禁止です。信託法は31条で、具体的に利益相反行為として禁止される行為の内容、例外として利益相反行為ながらも許される要件等について詳細な規定を設けています。 また、信託業法も29条2項以下に利益相反行為の禁止に関する規定を設けており、こちらについては特約があっても排除できない強行規定となっています。 では、具体的にどのような行為が禁止されるのでしょ…
信託財産の管理以外にもある受託者の役割とは?
手間を省くことを目的とした信託事務の委託は禁止自己執行義務とは受託者が自ら信託事務を行わなければならない義務をいいます。受託者は委託者との信頼関係に基づき、信託事務を行うわけですから、原則として、受託者自身が事務を行うのは当然のことです。 とはいえ、分業化、専門化の進んだ現代社会において、すべてを受託者自身で行うことには無理があります。そこで信託法の改正では、一定の要件を定めた上で、受託者が信託事務を第三者に委託することを可能としました…
信託の受託者に義務づけられる「財産の分別管理」とは?
複数の受益者は公平に扱われる前回に引き続き、受託者の義務について見ていきます。 善管注意義務と忠実義務という基本となる2つの義務に続き、その他の義務を説明していきましょう。 まずは受託者の公平義務です。これは受益者が複数いる場合に求められる義務で、信託法では33条において以下の通りに規定されています。「受益者が2人以上ある信託においては、受託者は、受益者のために公平にその職務を行わなければならない。」 ここでいう公平とは、信託の定めに従って…
残された家族が困らない「遺言書」作成のポイント
「財産管理」は元気なうちに家族に託しておく 社会全体の高齢化が急速に進む中「老老介護」という言葉をよく耳にしますが、相続でも「老老相続」が急増しています。 相続人が高齢化すると、さまざまな法律行為ができなくなり節税策が機能しなくなるケースや、相続人となるはずの子供が先に死去するケースなども珍しくなくなってきました。そのため、あらゆるケースを想定して相続対策を立てる必要性が高まっています。 そんな対策の一つとして近年注目されているのが、元…
信託財産を守る「受託者」に課せられた義務の内容
受託者の義務の基本は善管注意義務と忠実義務の2つ信託法、信託業法は受益者と委託者を守るために受託者にさまざまな義務を課しています。項目は本連載の第2回でも簡単に紹介しましたが、主な内容についてここで詳しく説明しておきましょう。 信託法、信託業法の義務の中でも受託者の義務の基本となっている最も重要なものは、善管注意義務と忠実義務の2つです。受託者は、信託の目的に沿って事務を実際に遂行すべき存在ですから、信託の目的を実現するためには、受託者が…
家族信託の「受託者」を選ぶ際のポイント
財産管理の知識、金銭感覚・・・誰を受託者にするか? 家に帰ると源太郎は由井にもらった資料を開いて眺めた。家族信託についての詳しい説明がありとてもわかりやすい冊子だ。とはいえシステムそのものは簡単なので頭に入っている。 この制度を利用するなら、やはり受託者として財産の管理を頼めるのは一太郎しかいない。一美はお金の勘定には疎いし次夫の経済観念には不安がある。 その点生真面目で金銭感覚がしっかりしている一太郎は適任だ。仕事柄、財産の管理にも慣…
信託財産を守る「倒産隔離機能」とは何か?
信託財産は「誰の財産でもない」!?信託が設定されると、信託財産の所有権が、委託者から受託者(信託会社等)に移転し、信託登記と同時に所有権移転登記をします。そのとき信託財産は、受託者の名義になりますが、その財産は、信託の目的に従って管理・処分されるものとして受託者固有の財産から独立したものとされます。 つまり、信託財産は委託者、受託者いずれの財産からも独立して存在するため、委託者及び受託者の債権者は信託財産に対しては強制執行することができず…
成年後見制度との比較で見る「家族信託」のメリット
成年後見制度より柔軟で使いやすい「家族信託」 「なるほど。元気なうちに信託契約を結んでおくとずいぶん安心できるようですね」「同じように財産管理をやってもらえる制度に、たしか成年後見制度というのがありますよね」 美千子が訊ねた「あれとはどう違うのでしょう?」 「よく勉強されていて頼もしい限りです。まず成年後見についてご説明しますね。この制度は、認知症や知的障害、精神病などにより判断力が十分でない方の権利を守るための制度です。権利を保護する…
委託者と受託者――信託財産はどちらのものなのか?
信託財産の所有権や管理処分権は「受託者」に移る委託者から受託者に移転された財産のことを信託財産といいます(信託法2条3項)。具体的には動産、不動産、債権、知的財産権、特許を受ける権利等をいいます。一部の例外を除いて、負の財産、つまり債務を信託することはできないとされています。 信託が設定されると、信託財産とされた財産の所有権や管理処分権は、委託者から離れて受託者(信託会社等)に移ります。不動産を信託財産とした場合には、信託契約の際に不動産…
高齢化時代の資産防衛の切り札「家族信託」とは?
法改正で可能になった「家族」との信託契約 「一番いいのは、家族信託ですね」 源太郎の心配事を聞くと、由井はあっさりと答えた。 「家族信託・・・?」「はい。信託というと、源太郎さんはどんなものをイメージしますか?」「信託銀行とか、投資信託とかですね」 「そうですよね。日本人のほとんどは、この言葉にそういう金融系のイメージをお持ちだと思います。でも信託というのは文字の通り、信じて託することを指します。具体的に言うと、信託法に基づいて財産を誰…
信託における委託者・受託者・受益者の関係性
信頼関係の維持のため、多くの義務が課される受託者委託者は受託者と信託契約を締結するなどして信託目的の設定をし、信託財産の受託者への移転を行います。ここでは所有権だけではなく、所有者自身がすることのできる財産の管理、処分(をする権利)も受託者に委ねることになります。 所有権、そしてそれを管理・処分する権利を委ねるわけですから、委託者、受託者間には信頼関係がなくてはなりません。その信頼関係に基づき、さらに信頼関係を維持するため、信託法は受託…
意識しておきたい「老老相続」の危険性
「老老化」が進み、節税策が無駄になるケースが増加 「やれやれだな」 テーブルの前に坐り直して源太郎はため息をついた。老いるとはこういうことなのかもしれない。由井からはすべての可能性に備えるのが相続と聞いた。その際気になることを言っていた。 「ローロー相続ってか・・・」 茶化して呟いてみたが、やっぱり気が重くなる言葉だ。年老いた親をこれまた年老いてしまった子供が介護する「老老介護」は新聞やテレビニュースでもたびたび取り上げられている。相続…
営利を目的とするか?――民事信託と商事信託の違い
民事信託で「受託者」になれるのは誰か?すべての信託は、委託者、受益者及び取引する第三者を保護するため、信託法の適用を受けるものとされています。さらに、受託者が、営利の目的及び反復継続性を持って信託の引き受けを行う場合、商事信託として、信託法に加えて、信託業法による厳格な規制も受けることとなります。商事信託に当たらない信託(民事信託)は、信託法上の規制のみを受けます。 未成年者、成年被後見人及び被保佐人以外の個人は、誰でも民事信託の受託者…
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