今回は、会社の経営改善を妨げることもある「安易な借入」について見ていきます。※本連載では、株式会社スペースワン・代表取締役・徳永貴則氏 監修、株式会社エッサム編集協力、資金繰りを支援する税理士の会著、『会社の資金繰り 絶対!やるべきこと知っておくべきこと』(あさ出版)から一部を抜粋し、金策に追われることなく、「資金繰り」のいい会社を目指すための実践的なノウハウを紹介します。

「現金」が手元にあると人間は安心してしまう

資金繰りの穴を埋めるための手っ取り早い方法は、お金を借りることです。

 

ただしそれは、資金が回らなくなった理由を明確にし、問題点を整理して、資金繰りと返済の計画をしっかりと立てたうえでなければ、危険な選択になります。

 

なぜなら現金が手元にあると、人間はそれだけで安心してしまうからです。

 

「借りられたから、もう安心、これでなんとかなる」

 

そう言って胸をなで下ろした瞬間、経営が赤字であるという危機感が薄れてしまい、資金繰りが悪化した原因について真剣に考える気が失せてしまいます。

まずは「自力」で立て直す計画を立てる

当然ですが、売上が下がった場合、必ず何か原因があります。その原因を追及し、経営方法を改善しなければ、売上は元に戻りません。借金で得たお金を元に売上を増やしても、そこから得た利益は銀行の返済で出て行ってしまいます。結局、会社に現金は残りません。

 

借金までして頑張っているのに、いつまでたってもお金が貯まらない。ストレスが増える一方ですが、その理由は経営者自身にあるのです。

 

売上が減って資金繰りが悪化したときは、融資に頼るのではなく、まずは自力で立て直す計画を立ててみましょう。難しい作業になりますが、一つひとつの項目をしっかりと把握し、何をどうすれば資金繰りが改善するのかを考え、自分の会社を守るために取引先とさまざまな交渉に取り組んでいけば、ほとんどの場合、経営改善は成功します。

 

会社が存続する限り、経営者は会社の資金をコントロールする責任を負っています。「楽だから」「手っ取り早いから」と安易に借入に頼ることはやめましょう。

本連載は、2016年6月23日刊行の書籍『会社の資金繰り 絶対!やるべきこと知っておくべきこと』から抜粋したものです。その後の法律、税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

会社の資金繰り 絶対やるべきこと、知っておくべきこと

会社の資金繰り 絶対やるべきこと、知っておくべきこと

徳永 貴則 風張 広美 平井 敬士 窪木 康雄 小高 正之 土江 誠一郎 森 敏夫 浅井 政晃 高田 寛 岸 健一 飯塚 正裕 横田 昭夫 中村 泰宏 日比 亮太郎 舟生 俊博 糊 智至 佐々木 康二 南村 博二

あさ出版

「なんでこうなってしまうのか・・・」と手遅れになる前に! 知識ゼロでもできる「資金繰り表のつくり方」から、「銀行交渉、業種別のポイント」まで。本書では、会社経営の最重要課題の1つである、資金繰りについて、知識ゼロ…

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