今回は、銀行主導の借入戦略から脱却する「当座貸越」の賢い使い方を紹介します。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

銀行借入をして現預金を必要以上にかかえていたが…

先日、ある経営者から、
“A銀行とB銀行で当座貸越枠ができました!
2行の合計で○億です!”
との連絡がありました。

 

その会社は以前、
現預金を必要以上にかかえていたのです。
しかも、銀行借入をしてまで、です。
余分な現預金に、余分な借入金。
それだけで、総資産が膨らんでいたのです。

 

“ここまで現預金がなくても資金繰りは回るでしょう。”
というと、
“いやあ、何かあったら、と思うと、つい・・・。”
“それに、突発的に資金が要るときがあるんです。”
と、その会社に限らず、よくある理由です。
“じゃあ当座貸越枠の契約をすればいいじゃないですか。”
“それ、なんですか?”
その時点では、当座貸越をご存じなかったのです。

かかるのは利用した金額・期間に対する金利のみ

当座貸越というのは、
最初に決めた金額を上限にして、
当座預金残高がマイナスになっても、
その上限までは、短期借入金扱いになる、
というものです。
で、当座預金に入金があれば、
それで自動的に返済されたことになります。
かたっ苦しい言い方をすれば、
当座預金口座連動型一般当座貸越、と言います。

 

当座貸越を活用すれば、
利用した金額・期間に対する金利だけで済みます。
それに、借入の手間も、返済の手間も、ありません。

 

先の経営者は、
アドバイスに基づいて余分な借入を返済し、
総資産を縮め、当座貸越枠の契約を完了させたのです。

 

必要もないのに、
当座貸越契約をすることはありません。
しかし、
業務上、突発的な資金需要が発生する場合がある、
というのなら、
通常の借入金で現預金を抱えておくのでなく、
当座貸越を活用すればよいのです。
で、通常月末の現預金残高をギリギリで回す。
それが、経営主導の資金繰り術、なのです。
銀行主導、借入主導の資金繰りは、
百害あって一利なし、なのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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