今回は、会社の自己資本比率やROAを向上させる手形の「取り立て手数料」の値下げ交渉を、実例とともに見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

手形の「換金時」に発生する手数料

銀行手数料のホームページには、給与、振り込み、代金取り立て、証明書発行、などなど・・・、そのメニューの多さに驚きます。

 

受取手形を扱う商売の場合、銀行に取り立て手数料を払います。手形の期日がきて、換金時に発生します。手形1件につき数百円です。受取手形の数が多いと、年間で結構な金額になります。

 

“手形の取り立て手数料を下げてもらいました!”という話しをお聞きしました。

 

“いくらになったの?”

 

とお聞きすると、
“1件800円を100円にしてもらいました!”
というのです。
ちょっとビックリです。

 

“その代わり、期日よりずっと早めに割り引いて、0.4%の金利を払っています!。”

 

というのです。銀行は、金利を受け取る代わりに、割引手数料を100円にしてくれたのです。もちろん、交渉したから下げてくれたのです。これだけなら、

 

“金利を払うくらいなら、そのままでいいじゃないか!”と思ってしまいます。

年間700万円のコストダウンが実現

で、その経営者が偉いのは、早期に割り引いた、その現金を活用したことです。
それまで手形払いだった取引先を、翌月末の現金支払いに変えていったのです。

 

取引先も、回収が早まるので、喜びます。そこで、早期に支払いをすることを条件に、価格のバックを取り付けたのです。そのバックが、銀行に払う金利と、トントンなのです。

 

つまり、銀行への手数料が100円になった分、まるまるコストダウンになったのです。

 

年間の取立手数料約800万円が、100万円の割引手数料で済み、年間700万円のコストダウンができたそうです。

 

受取手形を早期に割り引いて現金化し、その現金で早期に支払う。お金の回転が速くなったのです。バランスシートで言うと、左側の受取手形と、右側の支払手形が減り、総資産がグ~ンと減ったそうです。当然、自己資本比率や、ROAも向上します。いうことなしです。今は、受取手形をなくす交渉を、じわじわと進めているそうです。

 

手形の取り立て手数料も、交渉できるのです。銀行交渉することも、キャッシュの社外流出を抑える、対策なのです。

 

受取手形を扱っているなら、手数料がいくらなのか、確認してみてください。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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