ベルリンの壁崩壊後、四半世紀の間、旧東ベルリンと旧西ベルリンがそれぞれどのように姿を変えていったか、再開発の動きを中心にご紹介します。

ベルリンの再開発は「ポツダム広場」からスタート

1961年、西ベルリンを包囲する形で建設され、冷戦の象徴となっていたベルリンの壁は、1989年、28年間の歴史を経て崩壊しました。昨年11月には壁崩壊25周年が大々的に祝われ、かつての壁跡には数千個もの白い風船が点灯されました。
 

1989年ベルリンの壁崩壊当時
1989年ベルリンの壁崩壊当時

 

壁崩壊後、再開発の地として最初に選ばれたのは、ベルリン中央区に位置するポツダム広場でした。現在ベルリン市内で、訪れる観光客数が最も多い場所のひとつであるこの広場そしてその周辺には、ベルリン国際映画祭の会場あり、数々の巨大ショッピングセンターも現れ、1989年当時の景観は劇的に変化しました。

 

 

現在のポツダム広場
現在のポツダム広場

 

当時再開発に着手したのは、ダイムラー・ベンツ、ソニー、ドイツ鉄道などの大手企業です。再開発の背景には、大きな要因がありました。

 

まず、ベルリンの壁がポツダム広場を分断する形で建設され、その東側は無人地帯として広大な更地となっていたため、壁崩壊後の開発が進めやすかったことが挙げられます。またポツダム広場は、壁が建設される以前から、市電、地下鉄、地上鉄道などの交差点であり、交通の便が非常に優れていた場所でもあります。そして、ベルリン中心部から目と鼻の先という、非常に魅力的な立地でした。

新たな開発の波が押し寄せている旧西ベルリン

潤沢に存在していた旧東ベルリンの開発土地ですが、2014年にオープンした巨大ショッピングセンター「Mall of Berlin」が、パズルの最後のピースとなった感があります。そして現在、今度は旧西ベルリンで、大規模な再開発が進んでいます。

 

2014年にオープンしたMall of Berlin
2014年にオープンしたMall of Berlin

 

ベルリンの壁があった場所のすぐ西側には、壁崩壊前から数々の素晴らしい文化施設が立ち並んでおり、西側の文化的レベルの高さのアピールとなっていました。クラシック音楽の殿堂、ベルリン・フィルハーモニーや、ベルリンの “MOMA” 的な存在である新・ナショナルギャラリー、ベルリン州立図書館などが代表的です。

 

ベルリン・フィルハーモニー
ベルリン・フィルハーモニー

  

新・ナショナルギャラリー
新・ナショナルギャラリー
 
ベルリン州立図書館
ベルリン州立図書館

 

壁の崩壊後、大規模な開発資本は東側へ注入されていたため、西側の再開発は保留されていました。既に存在している古びた建物を取り壊し、周りの建築物とのバランスを取りつつ新しい建設を進めるという面で、西側の再開発は、東と異なっています。

 

 

現在そのような再開発が活発に進んでいるのが、旧西ベルリンの中心部でCITY WESTと呼ばれる地域です。2013年にオープンした五つ星ホテル「ウォルドーフ アストリア・ベルリン」をはじめ、2014年には、道路を挟んだ向かいに、ユニークなコンセプトを持つショッピングモール「BIKINI BERLIN」が完成しました。

 

ウォルドーフ アストリア・ベルリン
ウォルドーフ アストリア・ベルリン
 

BIKINI BERLIN

BIKINI BERLIN

ベルリンの新たな輪郭:スカイライン

建設中の UPPER WEST
建設中の UPPER WEST

ベルリンでは現在、メトロポリタンを象徴する数々の高層ビルが建設予定です。

 

CITY WESTエリアで最も注目を集めている建設プロジェクト、UPPER WESTが、その一例です。2017年完成予定のこの建物には、オフィス、ホテル、店舗に加え、最上階には、ベルリン市街が360℃のパノラマで一望できるスカイ・バーが入ります。

 

「考え抜かれたデザインの高層建築は、その地域全体の価値を押し上げ、将来への展望を広げる」――設計を担当したクリストフ・ラングホーフ氏がそう語るように、ベルリンでは今、伝統と革新の要素が織り成す新たな価値が、街として体現されつつあります。

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