最終回の今回は、「不動産の使用料の支払調書」に記載が必要な事項に関するQ&Aを2つ取り上げます。※本連載は、立川・及川法律事務所の代表弁護士、立川正雄氏の著書『不動産業者のためのマイナンバーQ&A』(にじゅういち出版)の中から一部を抜粋し、不動産の賃貸に関するマイナンバーの取扱い方法をQ&A方式でご紹介します。

実質的に家賃なら「共益費」も併せて記載が必要

 Q 

当社は従業員寮を保有せず、個人のアパートオーナーから、従業員の社宅を当社の法人借りで賃借し、アパート一室に付き賃料月額10万円(全6室で年額720万円)、共益費月額2000円(全6室で年額14万4000円)を支払っている。なお、アパートの管理は借りている当社で行い、オーナーは管理していない。オーナーのマイナンバーを教えてもらい、支払調書を書こうと思うが、支払調書に共益費を記載する必要があるか?

 

 A 

1.家賃名目の720万円と、共益費名目の14万4000円の合計額734万4000円を支払調書の「支払い家賃の金額」に記載すべきである。

 

2.税務署の配布している「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」第4(本書『不動産業者のためのマイナンバーQ&A』(にじゅういち出版)附属の〔資料4〕)に支払調書に記載すべき項目として「共益費」はない。したがって、税理士によっては、「共益費は除いて記載する」と指導している例もあるが、本件のようにオーナーが管理しておらず、共益費の全額がオーナーの収入になっている場合には、共益費も実質的に家賃とみられるからである。

保証金の一部が償却されるなら、支払調書の提出が必要

 Q 

法人の貸主が、今年4月に法人のテナントに店舗を以下の条件で貸してた。借主法人は、支払調書を税務署に提出すべきか?提出すべきなら何の金額を支払調書に書くべきなのか?

 

1)礼金なし

2)家賃50万円(別途消費税)

3)保証金500万円。ただし、退去時100万円(別途消費税)償却

 

 A 

1.提出しなければならない。支払調書には100万円の償却分を記載する必要がある。家賃と保証金は記載の必要がない。

 

2.家賃は、法人が受け取っている場合は、定期収入だから支払調書に記載する必要はない。

 

3.保証金(敷金も同じ)は預り金で、「使用の対価」ではないから、これも支払調書に記載する必要はない。

 

4.保証金・敷金の償却分は、「権利金・礼金」になるので、臨時払いなので支払調書に記載する必要がある。

 

国税庁HP>税について調べる>タックスアンサー>消費税>課税取引・非課税取引>No.6225

地代、家賃や権利金、敷金など「事業用の建物の賃貸借契約の締結や更新に伴う保証金、権利金、敷金又は更新料などのうち、返還しないものは、権利の設定の対価となり」消費税が課税される。

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    本連載は、2016年11月19日刊行の書籍『不動産業者のためのマイナンバーQ&A』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    不動産業者のための マイナンバーQ&A

    不動産業者のための マイナンバーQ&A

    立川 正雄

    にじゅういち出版

    いよいよ2016年の支払調書および2017年2月からの確定申告時にマイナンバー記載が義務付けられます。マイナンバーは、不動産取引にも大きな影響があります。 そこで、売買・賃貸など不動産取引を行う法人・個人の方、賃貸管理…

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