今回は、銀行による格付けを左右する「債務償還年数」の重要性を見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

格付けの点数は「債務償還年数」が短いほうが上がる

銀行の融資担当者には、審査にあたって見る財務のポイントがあります。銀行マンを対象にした、融資実務のマニュアル本などを読むと、そのチェックポイントが見えてきます。

 

③債務償還年数は何年か?

貸す側にとって、「何年で返済できると見込まれるのか?」は、最重要事項です。融資格付けの配点においても、129点満点中20点と、最も高いウエイトが置かれています。

 

(長・短借入)÷(営業利益+減価償却)

 

この計算式で年数を算出します。

 

 1年以内・・・・20点

 5年以内・・・・16点

 9年以内・・・・12点

 12年以内・・・・10点

 15年以内・・・・6点

 20年以内・・・・4点

 

と、年数が長くなるほど、点数は低くなります。当然です。年数が長いほど、返済能力は低い、と見るのです。

営業利益を増やすだけでは、債務償還年数が増えるだけ

業績が悪い企業の場合、減価償却をせず無理矢理に営業利益を出している、という決算書を見かけることがあります。そんなことをしても、こと銀行融資については、なんのメリットもありません。債務償還年数は、より長くなってしまうのですから。

 

ただ、実際にこのような計算を、銀行マンはやりません。企業から預かった決算書は、データ入力され、配点は自動で算出されるからです。

 

そのため、銀行業務の現場において、実際の経営指標に弱い銀行マンが、増えてきているのです。だからこそ、そんな彼らに決算書の見方や、経営指標の算出方法を教えるマニュアルが、存在するのです。

 

債務償還年数は、

 

12年を超えると黄色信号

15年を超えると赤信号

 

と、心得てください。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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