本連載は、株式会社タカ・コーポレーション代表取締役、中村 隆氏の著書『続・究極の不動産投資術』(株式会社タカ・コーポレーション)の中から一部を抜粋し、不動産の購入から、入居者募集、物件の維持管理まで、「究極の不動産投資術」の具体的な内容を解説します。

毎月の返済額が少なければキャッシュフローは増える

不動産投資のための借入金については、後で繰り上げ返済等で期間を短くすることは可能ですが、反対に後で期間を長くすることは絶対にできない点は肝に銘じてください。したがって期間は非常に大事なのでできるだけ長く設定することをお勧めします

 

10年よりは20年、20年よりは30年と最大限長くとれるだけ長くすることが資金的により余裕をもってアパート経営できます。これは本当に大事なことです。長く期間を設定することはある法律上の利益を生みます。その利益のことを法律用語で「期限の利益」と呼びます。これは元利金返済が20年なら20年で返済すればよく、今すぐに返せとはいわれない権利です。

 

借りたお金を今すぐに全額返さなくていい権利です。だから毎月の返済を着実にやっていけば債務不履行にならないので期限の利益を失いません。ゆっくりあせらず期間内に返済してゆけます。当然10年より20年で返済する方が毎月の返済額が少なくてすみますのでキャッシュフローが多くとれます。その分修繕費や新たな投資に資金を回すことができます。

 

銀行と契約した後では、期間の短縮しかできません。急に派遣切り等で一斉にアパートから入居者が退室してしまった場合に毎月の家賃収入が激減しますので、銀行に対する毎月の返済に支障をきたしてしまうことも十分考えられます。毎月の返済ができなくなると、銀行に対して債務不履行になり、「期限の利益」を失いかねません。その場合最悪、即時返済を銀行から求められ競売もしくは任意売却になってしまって、不動産を手放さざるをえなくなり、もとも子もなくなります。そしてもし競売になった場合、売却しても残債以上に売れなかったら、債務だけが残ってしまう可能性もあることは十分認識しておいてください。

 

したがって何度も口酸っぱく言いますがそうならないためにも余裕をもって期限の利益はできるだけ長めに設定してください。これはキャッシュフローに間違いなくプラスになりますし、汲々と返済しているより余裕を持って返済している方が精神衛生上健康にも断然良いです。少々の退室にも余裕をもって対処できます。またこの「期限の利益」に関して次の例を紹介します。

景気によって変化する「銀行の融資姿勢」に注意

不動産投資信託であるリートはなぜ家賃収入が入って黒字なのに突然倒産するのでしょうか? この答えが正に「期限の利益」を喪失してしまったからに相違ありません。

 

リートの収益源は不動産を転売しながら得る転売益と毎月の家賃収入との二つです。つまりインカムゲインである家賃収入とキャピタルゲインである転売益の両方で配当金を出しているわけです。そのリートもすべて自己資金で不動産を買っているわけではありません。当然リターンの最大化を狙いますのでレバレッジを利用して不動産を購入します。

 

この「レバレッジ」は日本語では「テコの原理」です。小石があればその上に板を置き、それでもっと大きい石を持ち上げることができるその原理です。小石に相当するのが自己資金です。大きい石に相当するのが銀行等からの借入です。つまり他人の資金です。不動産投資にはこのアザーピープルズマネーという他人のお金がないと大きい物件が買えません

 

そしてリートは当然転売目的で買うので返済期限も1年から3年くらいで設定しています。2008年のリーマンショック以前でしたらその期間であれば余裕で転売できたのです。ところが世界中に衝撃が走ったリーマンショック後は一変しました。現在は周知のとおり金融は引き締められており、不動産購入に融資はつきにくくなっています。でもこんな状況にもかかわらず返済期限は待ってくれません。期限がくれば銀行は返済を迫ります。期限の利益は返済期日までしかありません。その期日まで資金の用意ができなければ破綻します。

 

そのような背景があってリートは黒字決算にもかかわらず倒産に追い込まれているのです。返済は市況が回復してくれるまで待てないのです。もう少し余裕を持つために「期限の利益」を長くとっておけば倒産しなくて済んだのに泣く泣く倒産に追い込まれて後悔しても遅いのです。

 

銀行の融資姿勢はその時々の経済情勢に応じてコロコロ変化しますので皆様も十分注意して取引してください。なぜ変化するのかといえば、銀行のリスクテイクできる範囲が変わるために融資姿勢も変化する他はないのです。そこをこちらからコントロールすることができない以上、最初に融資期間をできるだけ長くとることでそのリスクをより低くすることが重要なのです

不動産投資のリスクを低減させる「分散」

筆者は以前証券会社に勤めていた関係上、いろいろな会社について研究してきました。先輩から「電鉄会社はなぜ倒産しないかわかるか?」と聞かれて答えられないと「日銭が毎日入るからだ」と教えてもらったことがあります。日銭が入る商売は原則倒産はあまりしないのです。ということは、毎月家賃が入る商売であるアパート経営も電鉄会社とほぼ同じで定期的にお金が入る商売なので、普通の商売より安全なビジネスです。しかし当然リスクはあります。天災、事故、火災、部屋の中での自殺、突然の派遣切りによる空室率の上昇等です。

 

こういうリスクに対しては「分散」という手法を使えば低減は十分可能です。入居者と場所の分散をする入居者がある特定法人に偏っていれば要改善です。また入居者の男女の比率も偏らない方がいいです。もし保有しているアパートが1カ所しかなければ何か事故があった場合に家賃が突然入ってこなくなります。その場合はより広く対応できる保険に入ってリスク低減してください。一般に関東近辺でしたら、神奈川、埼玉、千葉、栃木、群馬という地域別にアパートの保有を分けていれば、1カ所で持っているより事故によるダメージを低減できます。

本連載は、2012年3月20日刊行の書籍『続・究極の不動産投資術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

続・究極の不動産投資術

続・究極の不動産投資術

中村 隆

株式会社タカ・コーポレーション

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