今回は、不動産投資用物件のローンについて、繰上返済を避けるべき理由を見ていきます。 ※本連載は、株式会社タカ・コーポレーション代表取締役、中村 隆氏の著書『続・究極の不動産投資術』(株式会社タカ・コーポレーション)の中から一部を抜粋し、不動産の購入から、入居者募集、物件の維持管理まで、「究極の不動産投資術」の具体的な内容を解説します。

繰上返済をしたところで返済額の減少効果はわずか

前回の話からはかわりますが、同じ繰上返済するかどうかの話で不動産投資の面から1例を紹介します。私の友人にY氏がいます。彼は大企業に勤めていながら20年前から札幌を中心にアパート経営をしています。私の大先輩です。

 

彼から相談がありました。それは所有していたアパートが5000万円で売却できたので、早速まだ4億円残っている借金の繰上返済をしようかというものでした。私は即座にそれはいい選択ではないと言いました。

 

なぜならアパートを売却したことによって今までもらっていた家賃収入がもらえなくる金額と、銀行に繰上返済して毎月の返済額が減る金額を比較した場合、明らかに銀行に対する毎月返済額の減少額の方が少なかったからです。それならレバレッジを利かして新たな高利回りのアパートを購入してキャッシュフローを増やす方がいい、ともアドバイスしました。

 

彼が選択したのは私の主張でした。早速彼は実行に移して銀行借入して5000万円の物件を購入しました。私も札幌は生まれて1回も行っていなかったので、そのアパートを見に行きました。7月なのに札幌は涼しかったのが印象的でした。そして宿は貸すほどある彼のアパートに1泊1000円で泊めてもらいました。

改修工事の費用負担なしに好条件の物件を取得

新たに購入した鉄骨造りのマンションは札幌市内にありました。

 

4階建てなのにエレベーターがありませんでした。これはラッキーと私は思いました。エレベーターがあると毎月維持管理するのに費用がかかるからです。だからない方がいいのです。

 

そして中に入ってびっくりしました。なんと内廊下の壁が新たに塗り替えてあったのです。超ラッキーです。そして部屋の中に入りました。なんとすべての部屋のクロスが貼り替えてあってトイレの便器も新品と交換してありました。超超ラッキーです。このようなマンションは私が一番ほしい物件です。

 

その理由を聞きました。Y氏の前にこのマンションに買付を入れた業者がいました。そしてその業者は必ず銀行から融資が下りるだろうと、まだ融資が下りない段階で売主に「融資が下りるから先にマンションの改修をさせてほしい」と言いました。そして売主の了承を得てわざわざ500万円もかけて改修したらしいとY氏は私に説明してくれました。その業者はローン特約も付けずに契約してローンが下りずに買えなくなってしまったのです。

 

気の毒に思いますがそれを買ったY氏は本当にラッキーマンです。本来ならY氏がしなければならない改修工事の負担をその業者がしてくれているのです。とてもラッキーな買い物です。それもやはり銀行に返済せずに手元に現金を置いておいたからできたのです。現金は「いざ鎌倉へ」と言う時に出陣できる大切なものなのです。本当にうらやましい限りでした。

 

サラリーマンのY氏は日曜日に東京に帰りました。私は結局札幌には4泊しました。4000円の宿泊費と鍵をポストに入れて私も札幌を後にしました。私のいい思い出としてはY氏が帰った後、彼から紹介された女性2人と私と3人でサッポロビール園へ行ってジンギスカンを食べ、生ビールを浴びるほど飲んだことでした。皆様も札幌へ行ったら札幌ビール園へ行ってみてください。

本連載は、2012年3月20日刊行の書籍『続・究極の不動産投資術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

続・究極の不動産投資術

続・究極の不動産投資術

中村 隆

株式会社タカ・コーポレーション

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