(※写真はイメージです/PIXTA)

配偶者を亡くした場合、精神的な負担はもちろんのこと、金銭的な負担も重くのしかかってきます。専業主婦のAさんは、ある日突然最愛の夫Bさんを亡くして憔悴。さらに、夫が亡くなったことで収入も減り「老後破産危機」に陥ってしまったのでした……。そんなAさんの事例をもとに、「遺族年金」のしくみと元気なうちに実践しておきたい対策について、株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPが解説します。

FPが提案したAさんの「救済策」3つ

①支出を減らす

夫が高収入だったこともあり、化粧品や趣味には我慢することなくお金を使ってきたAさん。定年後もBさんが亡くなるまでは貯蓄に余裕があったことから、その生活スタイルは変えずにいました。

 

先述のAさんのように、決して化粧品を「まったく買わない」とする必要はありませんが、費用対効果のいい化粧品に変えたり、趣味の内容を見直したりすることは必要かもしれません。

 

また、支出のなかでも大きな割合を占める住宅費についても見直す必要があるでしょう。これまでAさんはファミリータイプのマンションに住んでいましたが、子どもたちもすでに自立し、今後は1人での生活となります。

 

そこで、単身者向けのマンションに引っ越すことで家賃を抑えることが可能です。

 

②収入を得る

これまで長いあいだ、専業主婦として生活してきたAさん。65歳のいまから新たに仕事を始めるにはハードルが高いかもしれません。

 

そこで、家にある不要品をすぐに捨てるのではなく、『メルカリ』などのフリーマーケットサイトを利用して売却してみることを提案しました。自分にとっては不要なものでも、他人にとっては価値があるものもあります。商品の撮影や梱包・発送など手間はかかりますが、チャレンジする価値はあるでしょう。

 

③貯蓄を投資する

貯金の1,200万円を口座においたままではお金は増えません。そのため、「寝ているお金を投資に回す」という選択肢もあります。

 

ただし、これまで投資経験がまったくないAさんがいきなり株式やFXをしてもリスクが高く、あまり現実的ではありません。そこで、投資初心者でも安心してチャレンジできるものから始めるといいでしょう。

 

たとえば、元本保証のある「債券」やこの管理をお任せできて定期的に分配金がもらえる「不動産小口化商品」などがあります。会社や商品によってリターンにばらつきはありますが、おおよそ年1~6%程度の利益が見込めます。

 

さらに債券や不動産小口化商品には基本的に価格変動がなく、安心して保有することが可能です。仮に1,000万円を年利5%の商品に投資すれば年間で50万円、月4万円ほどの資産収入が得られます。

 

ただし当然、投資にはリスクがつきものです。購入前にはしっかりと説明を受け、契約内容を確認しましょう。

 

収支改善で月々10万円の余裕…暮らしに前向きになったAさん

Aさんは後日、まずは筆者の提案のうち①と②を早速実践し、収支改善を行いました。

 

単身者向けマンションに引っ越したことで家賃を5万円ほど抑えることができ、フリマサイトにも登録。最初こそ手続きに手間取りましたが、引っ越しのタイミングで不要になった食器や夫のゴルフクラブ、カメラなどを写真におさめ出品したところ、しばらくしないうちに売却できました。

 

予想以上に高値で取り引きされたことで、売却したお金で引越し代金を賄うことができました。その後も、不要になった物は売却することでお小遣いを得られているそうです。
 

結果的に、月々10万円程度の余裕が生まれました。当面のあいだ、Aさんは生活費の心配をすることなく、メイクや買い物を以前のように楽しむことができそうです。

 

 

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※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。
※参考:日本年金機構「遺族年金の制度」(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/index.html)

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