(※写真はイメージです/PIXTA)

一代で財を成した場合、その大切な財産を守っていくためには、本人だけではなく家族の金融リテラシー向上が大切です。ある経営者一族を例に、牧野FP事務所の牧野寿和CFPが解説します。

数日後…筆者のもとにかかってきた1本の電話

Aさんの本心

それから数日後、Aさんから筆者に神妙な声で電話がありました。まず先日の非礼を詫び、そして次のように本心を吐露してくれました。

 

「優秀な弟と違ってなんにも持っていない自分が無性に情けなくて、C家の長男という世間への見栄もあって相続したお金を散財した。虚勢を張れるお金も無くなったいま、ようやく冷静になれた気がする。弟の助けを借りずに自立した老後を送りたい。けれど、お金のことは正直よくわからないので、色々教えて欲しい」と。

 

そして電話の最後に「弟さえよければスーパーで働きたいので、弟ににそれとなく伝えて欲しい」と依頼を受けました。

 

兄の想いを知ったBさんの答え

最初はびっくりしたBさんでしたが、兄の再就職について、笑顔で快諾。

 

「兄は中高生のころから、事業のアイデアを父に話していたのですが、父には『お前に何がわかるか!』と怒鳴られていました。しかし私が入社してからは、兄はアイデアを私に話し、私が具体的な提案として父に話しました。父はその提案を実行することもあり、現在好調な宅配事業は兄の発案なんです。いつの間にか、親子3人の会社になっていたのですね」と話してくれました。

 

ただ一方で、「兄を社員にして厚生年金にも加入させて給与を支払うと、65歳から年金を受給する場合、年金+給与+家賃収入で、在職年金制度に引っかかりませんか?」と相談を受けました。

※老齢厚生年金の受給者が、60歳以降も厚生年金に加入して働くと、受給する老齢厚生年金の報酬比例部分(基本月額)と給与や賞与の額(総報酬月額相当額)の合計が、48万円以上(令和6年4月以降は50万円以上)になると、年金額が一部または全額支給停止になる制度。

 

もっとも、在職年金制度の対象は「年金受給額」と「給与所得」であり、家賃収入は不動産所得に分類されるため、心配無用です。

 

資産防衛は“家族みんなの”金融リテラシー向上が大切

Aさんのように、お金の知識が乏しい状態で大金を手にした結果、短期間でその大金を失ってしまうというケースは、実は珍しくありません。むしろ、借金もなく、家族関係が崩壊しなかったAさんは、幸運なほうかもしれません。

 

資産を末永く守っていくためには、本人だけでなく、配偶者や子、孫と、家族みんなの金融リテラシー向上が大切です。「子や孫がきちんと理解できるか不安」という人は、FPや税理士など専門家を交えながら、お金のことについて家族でしっかり話しておくことをおすすめします。

 

 

牧野 寿和

牧野FP事務所合同会社

代表社員

 

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※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。

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