2月の注目点…米金利上昇がどこまで続くか?
1年前は、2月3日の米1月雇用統計発表をきっかけに、米10年債利回りは3.3%程度から一気に4%を超える上昇に向かいました。今回も同じように米金利が大幅な上昇に向かうかが、この2月の米ドル/円の行方を考える上では最大の焦点です。
普通に考えたら、米10年債利回りが年初来の高値を大きく更新、一段の上昇に向かう可能性はあります。米景気の強い状況が続いていると見られるからです。
2023年後半の米GDPの“記録的に高い伸び”を見事予想してきたことで改めて注目が高くなっている、アトランタ連銀の経済予測モデル「GDPナウ」が、2月1日に更新した1~3月期の実質GDP伸び率の予想は、4.2%といった具合に高い数字でした。米景気は減速どころか再加速に向かっているとしたら、米金利の上昇が続くのも当然でしょう。
ただし、米金利を巡る要因のなかで、1年前とは違う部分があります。それは、米10年債利回りが年末年始に過去1年の平均値である52週MA(移動平均線)を断続的に下回った点です。
これは1年前には見られなかった現象であり、経験的には米10年債利回りがすでに5%で天井を打ち、金利低下トレンドに転換している可能性を示唆するものです(図表4参照)。
この金利低下トレンドへの転換がいわゆる「ダマシ」でなければ、それと逆行する金利上昇は飽くまで一時的で限定的にとどまり、過去の経験を今回に当てはめるとこの局面での米10年債利回りの上昇は最大でも4.2%を大きく越えない見通しとなります。
そんなふうに米金利上昇が限られるか、それとも年初来の高値更新、一段の上昇に向かうかが、2月の米ドル/円の行方を考える上での最大の焦点でしょう。
米景気の強い状況が続くなかで、米金利が上昇し、それに連れる形で米ドル高が続くのは自然でしょう。それでもあえて、米ドル高・円安が限定的にとどまるなら、それはすでに円安が循環的な限界圏に達している可能性があるためでしょう。
円の総合力を示す実質実効レートには、5年MAを2割下回ると円安が終了するパターンがあり、足元では既にその段階に達しています(図表5参照)。円安が限界圏に達しているなら、更なる円安は限られ、「きっかけ」があれば円安は終了し円高に転換するといった見通しが基本になるでしょう。
一方で、強い米景気が続くなかでも米金利が限られるとしたら、その要因として米国債の需給要因はあるかもしれません。先週、米政府が当面の借入額を発表すると、債券の需給懸念が後退したとして米金利は大きく低下しました。
いろいろ見てきましたが、繰り返し述べてきたように「米金利上昇=米ドル高」がどこまで続くかが2月の米ドル/円を考える上での最大の焦点だと考えています。
一方で、すでに循環的な円安限界圏にあるなかでは、そういった「米金利上昇=米ドル高」も限られ、2023年11月に記録したこの間の米ドル高値、151円の更新はないとの考え方から、2月の予想レンジは145~151円で想定したいと思います。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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