「損得を論じる性質のものではありません。」
“いま、若い方々を中心に、公的年金に対して「自分たちの世代では、払った保険料が戻ってこない(受け取れる年金額<払った保険料)のでは?」という、損得に関する意見が聞かれます。
また、「今の受給者と現役世代では、給付される年金額に大きな差がある」という、世代間の差についての意見もあります。
これらの意見の中には誤解もありますが、そもそも公的年金制度は、現役世代が受給世代を扶養する「世代間扶養」の仕組みのもとで運営されている、社会保障制度です。本来、個人や世代の差による損得を論じる性質のものではありません。
しかし、高齢になったとき、あるいはご自分の身になにかあったときの生活を支えるものとして、重要な課題だと考える方も多いと思います。”
「損得を論じる性質のものではありません」とは、18歳以下現金給付をめぐり、世間が大きく揺らいだときにも示された言説です。はたして腑に落ちるかと言われれば、少し疑問が湧くところでもあります。
老後に備え、投資信託をはじめとした資産形成への注目が高まっていますが、あくまでそれは余裕資金があってのこと。最低限の保障という地盤も危ういなかで、どうやってお金を稼いで貯めていくのか。賃金が上がらない日本での「生き方」そのものが問われています。