「ガラスの地下室」に閉じ込められた中高年男性
日本総合研究所の調査では、「男性はつらい」と感じたことのある男性は60.4%に上ることが明らかになっており、半分以上の男性が、男性であることにつらさを感じていました。「男性はつらい」と感じたことのある理由として、「経済的責任が重い」(60.1%)が最も多く、「仕事の責任が重い」(54.2%)と続いています。
中高年世代は、正社員同士の夫婦はまだ多くはありません。世帯主の男性は多く、自分の収入が世帯で占める割合の100%を占める男性の比率も高いことが特徴です。
「趣味」「友人」「居場所」がないうえに、経済的な責任も抱え、逃げ場がない様子も想像できます。
米国で1993年に発行されたワレン・ファレル氏※2の著書によれば、男性が家庭における経済的責任を負うが故に、長時間労働や危険な職業に就き、女性に比べて自殺率が高く、平均寿命も短い状況を指摘しています。
その過酷な現実は「ガラスの地下室」と表現されています。女性には、「ガラスの天井」があり、出世・昇進が難しいことが問題として取り上げられますが、中高年男性は、「ガラスの地下室」に閉じ込められているといっても過言ではないと感じます。
女性活躍の施策のもとに、女性が活躍をしていくうえでの課題に対して、社会からの関心は高まってきました。
今後は、優先度が低くなりやすい、中高年男性が抱えている課題に対しても同時に目を向けていくことは、社会全体の人たちの生きやすさ、働きやすさを実現していくうえでも、意義があるのではないでしょうか。
*(2022年2月8日改定)東京圏で働く高学歴中高年男性の意識と生活実態に関するアンケート調査結果(報告)
※1 “Combatting loneliness one conversation at a time” Jo Cox Commission on Loneliness
※2 「男性権力の神話」ワレン・ファレル著、久米 泰介 (翻訳)(作品社)
小島 明子
日本総合研究所創発戦略センター
スペシャリスト
注目のセミナー情報
【国内不動産】5月13日(月)開催
銀行からフルローンを引き出す「最新不動産投資戦略」
利回り7%超!「新築アパート投資」セミナー
~キャッシュフローを最大化させるためのポイントも徹底解説
【国内不動産】5月16日(木)開催
東京23区×新築×RC造のデザイナーズマンションで
〈5.5%超の利回り・1億円超の売却益〉を実現
物件開発のプロが伝授する「土地選び」の極意
【事業投資】5月25日(土)開催
驚異の「年利50% !?」“希少価値”と“円安”も追い風に…
勝てるBar投資「お酒の美術館」とは
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走