「貯金したのは私!」夫が浪費家でも離婚時の財産分与は“2分の1”!? 少しでも多く財産を確保する方法を弁護士が解説

「貯金したのは私!」夫が浪費家でも離婚時の財産分与は“2分の1”!? 少しでも多く財産を確保する方法を弁護士が解説

婚姻中に築き上げた貯金をはじめとする財産は、離婚する際に夫婦で半分ずつ分与することが基本のルールです。ではどちらか一方が浪費家で、貯金に一切協力をしていなかったという場合でも、貯金額の半分を渡す必要があるのでしょうか。本記事ではAuthense法律事務所の弁護士白谷英恵氏が、離婚時の財産分与について解説いたします。

まれにしかないが…2分の1ルールの「例外」となるケース

前述のとおり、財産分与の基本は夫婦で平等に2分の1ずつですが、例外がないわけではありません。

 

そもそも、2分の1ずつというのは財産形成における夫婦2人の貢献度が同程度という前提に立っているものです。貢献度に大きな偏りがあると判断される場合はその限りではないのです。しかし、財産形成における夫婦それぞれの貢献度を評価する数値的な指標があるわけではなく、実務上は折半ということになるのが一般的です。

 

一方で、なかには財産分与の割合が2分の1にならないケースもあります。それは、明確な基準はないものの、財産形成の貢献度に明らかな偏りがあると判断されるケースです。

 

たとえば、財産形成の要因が、どちらか一方の特別な能力や努力による場合は、財産形成に対する貢献度は夫婦で等しくないと判断されます。

 

たとえば、プロ野球選手や医師などのような特別な資格を有していた場合には、その資格を取得したもの自身の努力が財産形成の要因とみなされ、財産形成への貢献度は高いと判断がされることがあります。

 

また、形成された財産が極端に多額な場合も、その資産を得ることに貢献したのは事業の運営などを実際に行っていた側の手腕によるところが大きいと判断されます。その場合、資産を折半とすることは不公平であるという判断から、財産分与の割合が2分の1とされないケースがあります。

 

しかしながら、こうしたケースは非常に特殊なケースです。一般的な家庭においては、財産分与の際に半分以上の割合を獲得することは難しいでしょう。

2分の1ルールを崩すのは難しいが…少しでも多く財産を得るコツ

これまでご紹介したように、浪費というのは客観的な指標がないので、財産分与の際に浪費だけを理由に多くの財産を手に入れることは現実的ではありません。しかし、少しでも多くの財産を手に入れるためにできることがなにもないわけではありません。

 

家族のためでない借金を明確にして、マイナスの財産は折半しない

住居購入や子どもの教育ローンなど、家族のための負債は夫婦の共有財産として財産分与の対象になりますが、家庭を顧みず競馬やパチンコといったギャンブルにつぎ込んだがための借金などは、財産分与の対象になりません。

 

お金の用途はギャンブルに限定されず、度の過ぎた交際費やキャバクラ通い、スマホゲームへの課金など、要は相手の承認を得ず、夫婦の生活水準に合わない過度の出費によってできた借金も財産分与の対象とならないことになります。

 

こういったケースでは夫の借金が家族のためでないことをしっかり示す必要があります。可能であれば離婚前から夫の消費行動を示すレシートを集めたり、日記に夫の行動を記したりして準備しておきましょう。

 

しかし残念ながら、相手に貯金に回せる十分な収入があったにも関わらずギャンブルなどにつぎ込んで全て使い込んでしまっていた場合でも、借金にまで手を出していなければ、やはりそれが度を超えた浪費であり、配偶者の容認がなかったということの証明は難しいため、基本的には自分の貯金は折半になってしまうでしょう。

 

財産隠しに要注意…財産分与で漏れのないようきっちりわける

離婚の意思が固まってくると、財産分与対策として財産隠しに走るというケースは決して珍しくありません。

 

離婚における財産分与は、結婚前から所有していた資産や相続した財産等の特有財産を除き、基本的には婚姻期間中に形成した全ての財産が分配の対象になります。そのため、できるだけ相手に渡す額を少なくするために財産を隠す行動をとる人は多いのです。

 

隠し口座や、金などの現物資産をどこかに隠し持っていないかなど、できれば離婚が決まって夫がそういった行動に出る前から財産リストをつくってしっかり把握しておくことが有効です。

 

早めに別居して浪費による財産の減少を食い止める

財産分与の対象となる財産は、通常同居していた期間に築いたものなので、すでに別居をしている夫婦の場合には、別居を始めた時点で保有していた財産が対象になります。

 

そのため、別居後に貯めたお金は各人のものと判断されますので、別居後に夫が浪費を重ねたとしても分配対象になる財産は減りません。

 

また、別居した場合には財産分与とは別に、別居中の生活費を婚姻費用という形で請求できる可能性もあります。そのため、財産の目減りを抑えるという観点から別居を開始することも、有効な選択肢のひとつでしょう。

 

このように、基本的には財産分与の2分の1ルールを夫の浪費という理由だけで崩すことは難しいですが、少しでももらえる財産を多くするためにできることがないわけではありません。

 

夫婦の財産リストの作成など、離婚を考え出したその日からできることもあります。離婚後の生活を見据えて少しでも多くの財産分与を獲得できるよう行動するとよいでしょう。

 

 

白谷 英恵

Authense法律事務所

 

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