そして、今のところ豊かな大都市部の自治体にも、やがて同じ波が押し寄せてくる。人口減少は避けられないし、大都市でも高齢化は十分進んでいる。今のうちに使える対策を生み出し、試し、未来に備えるという役割を、地方は担っている。地方は日本の問題解決の実験場なのだ。
そこにプレイヤーとして加わろうとしているのが、地方で起業しようと夢見るあなたなのである。誤解のないように言っておくが、それでもやはり大都市はすごい。情報も人も、地方とは桁違いの量で集まる。それは正直うらやましい。いくらリモート会議の道具が発達しても、現実で人に会って得られる情報にくらべたら半分程度の情報量しかないだろう。
だから、それだけの情報を使いこなせる人にとっては、東京や大阪といった大都市こそがこれからも最適な活躍の場なのだと思う。
ところが、僕はそうではない。電話がかかってくると仕事に集中できないので、電話をとるのをやめたほどの男である。今だと、LINEの未読通知が気になる。あれが1件でも残っていると気になって仕事にならない。
だから、ちゃんと頭を使ってクリエイティブな仕事をするときには、身近にスマホは置きたくない。おそらく、僕のようなタイプは少なくないだろう。情報が多く頻繁に入ってくることが、創造性や生産性を下げてしまうタイプ。そういう人が、持てる力をできるだけ発揮するために、地方での起業は有利かもしれない。
大都市に比べて情報が少ない、情報にアクセスするのに手間がかかるということは、確かに不利な面もある。しかし、あなたの頭をフル回転に近い状態に持っていくためには、もしかしたら有利な環境かもしれないのだ。
〈レッスン〉
次に地方から大都市に移動したときに、何にストレスを感じるか、自分を観察してみよう。人の多さ? 騒音? 空気の質? 建物の高さ?
あなたが能力発揮の足を引っ張っている、ストレスの正体が明らかになるかもしれない。そのストレスがなくなる場所への移住を考えてみよう。
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