(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の生命保険の見直しにおいて、「万一の際には遺族年金を受け取れるため、死亡保障を減らして今後リスクが高まる医療保障を手厚くすべき」という提案を保険営業員から受けることがあります。この提案自体は、一概に誤りとはいえませんが、自身が受け取れる遺族年金額を正確に把握していなければ、万一の際に後悔することも……。本記事では田村さん夫妻(仮名)の事例とともに、遺族年金を踏まえた老後の生命保険の見直し方について、FPの小川洋平氏が解説します。

老後の生命保険の見直しには要注意

「子供が一人前になったら死亡保障は要らない」と思われがちですが、早期にパートナーが亡くなった場合には田村さんのようなことになってしまうことがあるのです。夫婦の片方がいなくなったとはいえ、単純に生活費が半分になるわけではありませんので、収入は大幅に減るのに対し支出はあまり変わらないためにその後の収支が大幅に悪化してしまうことがあります。

 

そして、幸江さんが誤認していた遺族年金の受給額です。幸江さんのようにすでに老齢厚生年金を受け取っている場合、配偶者が亡くなった場合に受け取ることができる遺族年金は配偶者の遺族厚生年金の金額から、幸江さん自身の老齢厚生年金を差し引いた金額です。

 

今回の場合、隆幸さんの厚生年金が約9万5,000円でしたので、隆幸さんが亡くなった際の遺族厚生年金は老齢厚生年金に3/4を乗じた金額になり、9万5,000円×3/4=7万1,250円となります。

 

そして、幸江さんが受け取っている6万5,000円との差額の6万1,250円が遺族厚生年金として幸江さんに支給されるようになります。生前に生命保険の見直しを行った際、営業マンから受けたアドバイスが誤っており、隆幸さんが予想外に早く亡くなってしまった場合の対策がなされていなかったことが問題です。

 

もしも寿命よりも早くに亡くなってしまった場合に残されたパートナーが生活していくために十分な資産を残せるのかを考え、生命保険を活用し死亡保障で対策するか、資産を運用し取り崩して不足分を補填する計画を考える必要があります。

まとめ

​​​​今回はゆとりのある老後と思われていたが、配偶者の死で不安な老後を抱えることになってしまった事例をお伝えしました。

 

生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」によると、70歳~74歳の人の生命保険の補償額は1,460万円となっていますが、隆幸さんが加入していたのは合計で700万円と、平均値よりも少なかったといえます。

 

また、今回のようなケースも、早い段階で資産を運用していれば保障が少なかったとしても安心していられる資産を残すことができたと考えられます。リタイア時のマネープランは、こういった想定外にも強い家計を創ることができるように、適切に金融商品や保険商品を活用しながらプランを考えていくことが大切です。

 

 

小川 洋平

FP相談ねっと

 

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