(※写真はイメージです/PIXTA)

いつの時代もなくならない相続トラブル。親/子ども/きょうだいと、死後のことを話すのは気まずい……。といった声は多いものですが、生前対策を怠ってとんでもないトラブルに巻き込まれる例が相次いでいます。本記事では実際の事例を紹介し、相続対策の基本をみていきます。

「今まで甘やかせすぎたんですよ。40歳にもなって…」

結局、この日は何も解決できないまま終了。事の顛末を聞いた次女のヨシコさんは「兄さんの言うことなんて聞いてられない。本当に困ったら自分でなんとかするでしょ」と強硬姿勢です。でもお母さんの意見も聞いてあげないと……と、頭が冷えて慎重姿勢を取り戻したサキコさんでしたが、「待ってる間に骨折したら? 火事でも起こしたら? 誰が責任とるの?」と妹がピシャリ。我に返りました。

 

2人は現在、着々と老人ホーム入居の準備を進めています。問題のカズオさんに関しては、「やっぱりお母さん、老人ホームに入ってもらうことにしたから」と一言メールを送っただけだそう。

 

「私たちは遺産を全部諦めて、家もお金もあげるんです。これ以上かまっていられません。電話も来るけど無視しています。まだ40代なんだし、この先どうとでもなるでしょ。今まで甘やかせすぎたんですよ」

 

淡々と話すのは次女のヨシコさん。もともと兄妹の仲はよくありませんでしたが、今回の出来事をきっかけに、ほぼ絶縁状態になってしまいました。

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……この事例は相続トラブルの典型例といえましょう。ただえさえお金が絡むと揉めるものですが、「遺産分割」は争いの火種になります。特にきょうだい間で生活の格差が著しいと、価値観の違いが大きな亀裂を生んでしまうのです。

 

なお相続放棄については、下記を参照ください。

 

“言わずもがな、相続人は相続の効果を確定的に消滅させる、つまり「すべて相続しない」という意思表示ができます。これが相続放棄です。

 

相続放棄について、次のようなことが知られています。

 

●相続放棄をしたら、その相続に関しては最初から相続人にならなかったものとみなす(民法939条)

●相続放棄をした人に子(直系卑属)がいても、代襲相続はできない

●相続放棄の意思表示は、相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所に申述しなくてはいけない

●相続放棄は相続人が単独で行うことができる

●一度申述した放棄は撤回できない”(江幡吉昭『親族「みんなが相続放棄」をすると、何が起きる?…意外な答え』)

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