(※写真はイメージです/PIXTA)

超高齢社会の昨今、「いずれは自分も、親の介護をすることになるのだろうか」と思いながら、日々仕事などで忙しくあまり考えないようにしている現役世代も多いでしょう。80代の両親と同居するAさん(51歳)もそのひとり。父の異変に気づき「面倒をみるのは自分しかいない」と思い詰める一人息子のAさんに、牧野FP事務所の牧野寿和CFPはどのような助言をしたのでしょうか。みていきます。

“両親の面倒をみるのは自分しかいない”と思い詰めるAさん

今後父は、認知症の治療を続けるかたわら、在宅か施設入居いずれかの方法で、介護度1の介護サービスを受けることができます。

 

ただ、Aさんによると、両親ともに在宅での介護を望んでいるそうです
※ 厚生労働省「介護保険事業状況報告(月報・暫定)令和5年3月分(1月サービス分)」によると、在宅介護は約413万人(そのうち要介護度1は約109万人)。施設利用者は約95万人となっている。

 

筆者は話を聞くなかで、Aさんが思いつめた顔で「両親の面倒をみるのは、私しかいませんから」と言っていたのが気になりました。どうもAさんは「在宅での介護は自分がやらなければいけない」と思い込んでいるようです。

 

そこで筆者は、FPとして次のように話しました。

在宅介護で頼りになる「プロの手」

在宅であっても、ご家族が1人で抱え込む必要はありません。要介護度1の認定を受けたAさんの父は、ホームヘルパーなどによるプロの介護サービスを受けることができます。

 

たとえば要介護度1の場合、ケアプランに基づいて下記のような在宅サービスを受けることができます。

 

訪問介護……週に2・3回ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事・入浴介助、家事全般などを行う。

 

通所介護(デイサービス)……介護施設に日帰りで通い、施設職員が食事や入浴など日常生活の世話、身体機能のトレーニングを行う。なお、食事などは実費負担。

 

また、在宅環境を整備するためのサービスもあります。

 

出所:厚生労働省の資料をもとに筆者作成
[図表1]在宅環境整備のためのサービスの一覧 出所:厚生労働省の資料をもとに筆者作成

※ なお、要介護度認定を受けると介護保険とは別途、障がい者として生活をするために自宅の改修工事費用などを助成している市町村もある。

 

在宅サービスを受けるまでの流れと費用

在宅サービスを受けるには、まず地域包括支援センターや居宅介護支援事業者に依頼し、ケアマネジャーにケアプラン(介護サービスの計画)を作ってもらい、そのプランに基づいて介護支援が実施されます。なお、プラン作成の際の費用負担はありません。

※ 居宅介護支援事業者……在宅の要介護者(父)が介護サービスを適切に利用できるよう、ケアプランを作成し実行の支援をする事業所のこと。所属する介護支援専門員(ケアマネジャー)が、介護に関するさまざまな相談に応じてくれる。

 

なお、在宅サービスは、要介護度別に1ヵ月あたりの介護保険が適用される上限が決まっています。父の場合は、介護保険の支給限度額は16万7,650円で、その1割の1万6,765円が自己負担額です。それ以上にサービスを利用した場合は、全額自己負担(10割負担)となります。

 

出所:厚生労働省の資料などをもとに、筆者作成
[図表2]在宅サービスにかかる費用(要介護度別・1ヵ月あたり) 出所:厚生労働省の資料などをもとに、筆者作成

 

なお、後日Aさんの父は、週2回のデイサービスを希望したそうです。

 

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※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。
※本記事で紹介した介護サービスの手続きの詳細は、自治体ごとに異なるところがあります。

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