住宅ローンの固定金利利用率、アメリカが9割超に対して日本は1割未満にとどまる-日本では低金利が続いていたからなのか

住宅ローンの固定金利利用率、アメリカが9割超に対して日本は1割未満にとどまる-日本では低金利が続いていたからなのか
(写真はイメージです/PIXTA)

2022年10月~2023年3月に住宅ローン利用者のうち、固定金利を利用した人の割合は、米国で約91%に上る一方、日本ではわずか約9%に留まりました。本稿ではニッセイ基礎研究所の小林正宏氏が、日米の固定金利を比較し、日本の固定金利利用率が低い原因について解説します。

1― 日米の住宅ローンの金利タイプ別利用状況

アメリカでは住宅ローンは「30年固定」が一般的で、足元では変動金利の利用も若干増えているが、なお1割未満である。これに対して、日本では2022年10月から2023年3月に住宅ローンを利用した者のうち、全期間固定型を選択したのは9.3%に過ぎない※1[図表1]。

 

 

日本では長年、低金利の状況が続き、この間、アメリカのように急激な金利上昇を経験してこなかった。変動金利タイプの金利水準は優遇後でネット銀行では0.3%前後まで低下しており、主要行で見ても、全期間固定金利タイプの代表格である【フラット35】との金利差は1%を超えている[図表2]。

 

 


※1 アメリカでは日本の固定期間選択型に相当する商品はHybrid ARM(Adjustable Rate Mortgage)と呼ばれ、変動金利型に分類される。このため、図表1では日本の固定期間選択型は変動金利に含めてカウントしている。

 

2― 日本の固定金利と日米比較

日本でもかつて住宅金融公庫の直接融資は住宅ローン新規貸出額の3~4割程度を占めていた。

 

その高いシェアゆえに民業圧迫批判が巻き起こり、住宅金融公庫は2007年に廃止されたが、固定金利は必要ということで、住宅金融支援機構が設立され、市場機能を活用して【フラット35】等を提供している。

 

【フラット35】においては、民間金融機関が融資した住宅ローン債権を住宅金融支援機構が買い取り、それを担保とした証券(機構MBS)を発行して市場から資金調達している。これはアメリカのファニーメイ等が実施している機能を模した仕組みである。

 

日米の金利水準自体や住宅ローンの延滞率等が相当違うので単純に比較はできないが、固定金利タイプの住宅ローン金利と10年国債の利回りのスプレッドを確認すると、住宅金融支援機構が設立された2007年以降、日本のスプレッドはアメリカよりも低く推移している[図表3]。

 

機構MBSの発行利回りと長期・超長期の国債の利回りを比較しても、概ね安定的に推移している。

 

 

次ページ3― 利用者のリスク認識と規制

※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年11月8日に公開したレポートを転載したものです。

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