(※写真はイメージです/PIXTA)

事業を繁盛させることに成功した経営者は、老後も比較的ゆとりのある生活を送れるように思えます。しかし、意外にも経営者のなかには老後破産に陥るケースも少なくないと、FPの小川洋平氏はいいます。本記事では、五十田さん(仮名・75歳)の事例とともに、富裕層の老後破産について解説します。

実は老後破産に陥りやすい元経営者たち

会社員と比較し、自営業者、経営者は支出が多くなりがちで、現役を退いてからも交友関係が続くため、支出量を変えられない、という人は少なくありません。また、売上も経費も日ごろから個人の生活費とは桁が違う金額を見ていますので、一般の会社員が負担と感じることも支出として認識せずに使ってしまうことも。

 

そのため、一般家庭の感覚では十分と考えられる金額でも五十田さんのように大幅に不足してしまうことがあるのです。現役のころに毎月どの程度支出していたかを把握し、リタイア後には現役時代の支出を基準にどの程度の支出になるのか見込みを試算して、計画を立てておく必要があったといえます。

 

そして、経営者仲間との付き合いも大事なことですので、個人の支出ではなく会社の経費で出したほうがいい場合もあります。実際に、取引先の社長との関係性は未だに先代の五十田さんのほうが強く、五十田さんの存在があるからこそ取り引きが継続している部分も少なくはありませんでした。

 

そういった場合には会社から接待交際費、会議費などの名目で支出してもいいでしょう。個人で払わずとも会社からしっかりお金をもらい、経費として認められるものは経費として処理するべきでしょう。会社においてもプライベートでも、支出の見込み、使ってもよい予算を決め、予算の範囲内で使うことが大切なのです。

 

現役のころから自分のリタイア後の人生設計を考え、それを実現するために退職金や個人の資産形成プラン、資産の取り崩しの計画を考えたうえでお金を使っていれば、良好な交友関係を維持しながら、実の娘から見放されるようなこともなかったでしょう。

 

お金の出入りを見える化し、一生のスパンでの計画を立てて収入と支出をコントロールすることが自分や家族の幸せのため、そして経営者ならば社員や関連企業全員の幸せのために大切なことなのです。

まとめ

小規模企業の経営者様のなかには個人の収入と支出も、会社の収入と支出もよくわからないという方も多いものです。昨今では高校教育で金融教育がスタートし、「マネーリテラシー」という言葉が認知されはじめてきましたが、経営者にとっては自分や家族だけでなく社員や取引先など多岐に渡り経営者のマネーリテラシーが影響をおよぼします。

 

自分のお財布事情をしっかり把握し、どうしたら最大限自分や家族が幸せに生きていけるか、まずは自分のお金のこととしっかり向き合い考えていただきたいと思います。

 

※本記事は、FPの小川洋平氏のもとへ実際に相談のあった出来事をベースにしたものですが、登場人物や設定などはプライバシーの観点から変更している部分があります。また、実際の家計相談の現場では、論点が複雑に入り組むことが多々あり、すべての脈絡を盛り込むことは話の流れがわかりにくくなります。このため、現実に起こった出来事のなかで、見落とされた論点に焦点を当てて一部脚色を加えて記事化しています。

 

 

小川 洋平

FP相談ねっと

FP

 

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※プライバシー保護の観点から、実際の相談者および相談内容を一部変更しています。

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