(※写真はイメージです/PIXTA)

少子高齢化が進むなか、昨今では高級志向の老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)といった選択肢が増え、老後の住まいが多様化しています。終の棲家に選ぶ人も多いなか、一方で入居後に後悔したというケースも……。本記事では、FP1級の川淵ゆかり氏が、サ高住へ入居したAさん(72歳)の事例とともに、高齢者施設への入居の注意点について解説します。

入居後に「失敗したかも」と思ったら

高齢者施設に入居はしたけれど、やっぱり自分には合わない、と感じる人も多いものです。入居時に多額のお金を納めて、短期間で退去することになってしまった場合はもったいないものです。そんな場合は、入居後3ヵ月(90日)以内の退去であれば前払いした料金の返還が行われるクーリングオフが適用されることが老人福祉法で定められています。

 

Aさんのように体験入居もして納得して入ったはずなのに、その後の環境や人間関係等の変化で気持ちが変わってしまうケースもあります。クーリングオフ制度については、事前に必ず確認しておきましょう。

 

民間の老人ホームに入居する場合は「経営状態」にも注意

なお、民間の老人ホームは、経営状態により返金が遅れたりサービスが低下したり、場合によっては閉鎖してしまうこともあります。閉鎖までいかなくても、経営母体が変わったり施設長が変わったりすることで、スタッフが次々と辞めていったり、これがサービスの低下につながっていくことでトラブルになった施設もあります。

 

また、家賃などを一方的に値上げされてしまうケースもあり、年金頼みの高齢者にとっては経済的に重大な問題となります。値上げや閉鎖により住み続けることができなくなり、「転居」ということになると、高齢者にとっては住まいが変わることは体力的にも精神的にも負担が大きく、その後の健康状態に悪い影響を与えないとも限りません。

 

一人暮らしの高齢者も増えてきており、頼れる身内のいない高齢者にとっては相談できたりサポートしたりしてもらえる公的な機能が必要ではないか、と考えます。

 

 

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[図表3]年齢別単身世帯数の推移 国土交通省「高齢者世帯数と年齢別単身世帯数の推移」(第47回分科会資料5)より引用※2

 

※1:国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」(平成30年推計)及び総務省「平成27年国税調査」をもとに、国土交通省作成

 

※2:国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」(平成30年推計)総務省「国税調査」をもとに、国土交通省作成

 

東京都でも次のように高齢化率は年々大きくなっています(平成17年(2005年)とその30年後(2035年)の高齢化率を色わけしています)。

 

国土交通省首都圏白書「首都圏をめぐる最近の動向」より引用
[図表4]首都圏の高齢化率の変化 国土交通省首都圏白書「首都圏をめぐる最近の動向」より引用

 

団塊ジュニアも50歳を過ぎた現在、増え続ける高齢者の住まいや介護・医療の問題については早急に対応策を検討する必要があります。

 

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表

 

 

 

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