不安です…「発達障害」の子、「言葉の遅れ」にどう対応する?【発達支援のプロが解説】

不安です…「発達障害」の子、「言葉の遅れ」にどう対応する?【発達支援のプロが解説】

発達障害の子のひとつの特徴である「言葉の遅れ」。大事なのは話せる言葉だけではなく、まず言われたことを理解しているか、子どもの言葉以外の反応に目を向けてみることです。今回は「言葉の遅れ」に不安をおぼえる保護者に向けて、発達支援のプロがアドバイスします。

 

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言われたことへの理解があるか…子どもの反応をみて

「言葉の遅れが心配」というご相談を多くいただきます。言葉の遅れは発達障害の特徴とも言われるため、余計に心配になるのかと思います。多くの心配は言葉を話さないことですが、子どもの話せる言葉にだけに目を向けていないでしょうか。

 

幼児期は知っている言葉(理解語彙)と使える言葉(使用語彙)にしばしば大きな差があります。「言われたことはわかっているようだけど、発語はまだあまりない」という状態です。言葉の発達は個人差が大きいとよく言われますが、それは特に表出語についてです。理解語彙がたくさんあってもなかなか使用語彙になっておらず、ある段階から一気に話し出す子どももいます。

 

話せる言葉だけではなく、言われたことを理解しているかな? 手を引いたり、目を合わせたり、言葉以外で何かを伝えようとする行動は多いかな? という視点で子どもを見てみましょう。言われたことを理解していて、自発的なコミュニケーション行動も多いようなら、言葉が出てくるのを焦らず待つ気持ちが大切です。

 

もし子どもからのコミュニケーション行動が少ないのなら、言葉を言わせようとするよりも、楽しいかかわりを増やすことがとても大切です。

言葉の発達…子どもの感情が動いた瞬間を逃さず「関わる」

言葉が遅れているように見えても、言われたことを理解しており、大人にかかわろうとする様子が見られるのであれば、それは言葉の出方の個性だと考えられます。無理に言わせようとしてストレスをかけるよりも、言葉が出てくるのを楽しみに待つ姿勢が大切です。

 

ですが中には、かかわりを求める様子があまり見られず、一人遊びが多い子どももいます。自閉症スペクトラムの特性として、コミュニケーション行動の希薄さがあげられますが、そのような場合はまずやりとりを増やすことを考えましょう。やりとりを増やすと言っても、大人と子どものコミュニケーション行動は違います。大人にとって、コミュニケーションの中心は言葉です。ですから、大人から言葉をかけ、子どもから言葉が返ってくることを期待してしまいます。期待したような反応がないと、どうしたらいいの? と途方に暮れてしまいますよね。

 

子どもを観察していると、「なんだろう?」という疑問であったり、「わあ、おもしろい」という発見であったり、感情の動きから起こる行動が必ずあります。それが最初は他者に向けられていなくても、まずは一緒に観察し、少しでも横にいることに気づいた様子が見えたら、「アリさんだよ」「つながってる、おもしろいね」と言葉をかけてみましょう。そして、「アリさん、こっちも」と、意図的に目を合わせるように指差しながら、伝わりやすい短い言葉をかけます。

 

反応が少ないうちはなかなか難しいのですが、子どもの感情が動いた瞬間を逃さないことが重要です。

喜びの共有体験を増やす遊び方

言葉の発達につながる豊かなコミュニケーションのために、他者とかかわりたいという意欲が大切です。

 

では、かかわりたい意欲はどこから生まれるのでしょう? それは、楽しい時、嬉しい時を一緒に過ごす喜びの共有体験がスタートです。さらに、ただかかわるだけの喜びにとどまらず、例えばおもちゃで遊んでいる時に、自分が楽しいことをお母さんにも一緒に楽しんでほしい、お母さんが楽しそうだから一層楽しい、と変化していきます。

 

 

そのような喜びの共有体験を増やすためにお勧めなのが、パターンのあるかかわり遊びです。筆者たちが行っている課題ですが、「コップを重ねましょう」と歌いながらコップを重ねてタワーを作り、高く積んだら「やったー!」と喜んで、「でも……こわれちゃったー」とタワーを倒して見せます。

 

子どもの反応を観察しながら、「もう一回」とまたタワーを作ります。数回繰り返すうちパターンに気付いた子どもは、「また倒すかな?」と先生の行動を待つような様子を見せたり、自分からタワーを倒したりしてくれます。そうしたら、「わー、こわれちゃったー」と楽しく歌って、もう一度コップを積んであげます。その時子どもは、「早く先生にコップを重ねてほしい(倒したいから)」「先生にタワーを倒してほしい(ドキドキして楽しいから)」と感じています。

 

どんな遊びでもパターンは作れますので、ヒットする遊びを楽しみながら試してみましょう。

 

本連載は、株式会社コペルが運営するホームページ内のコラム(https://copelplus.copel.co.jp/column/)を転載・再編集したものです。

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