社長「高級外車スポーツカーは経費」…主張が税務署に〈認められた〉ワケ【税理士が解説】

社長「高級外車スポーツカーは経費」…主張が税務署に〈認められた〉ワケ【税理士が解説】

税務調査では、高級車の経費処理を巡ってトラブルが生じるケースがあります。社用車として利用していても、高級車は事業内容や社会通念上、個人の趣味の範囲内とみなされ、経費計上を認められないケースも少なくありません。本記事では、税理士の伊藤俊一氏による著書『税務署を納得させるエビデンス 決定的証拠の集め方』シリーズ(ぎょうせい)より、高級車の経費計上が認められた事例をもとに、高級車を経費計上するために用意すべき証拠について、同氏が解説します。

高級スポーツカーが必要経費と認められた事例

(3)社会通念(=常識、経験則)と必要経費該当性

高級品、個人的嗜好が高いと社会通念上認められるものについて直ちに必要経費に該当しないと判断するのは早計です。

 

交通費の支給がないうえ、実際に業務に使用されていたので必要経費に

〇平成7年10月12日裁決 TAINSコードF0-2-048

 

「請求人は、本件車両については、代表取締役社長が通勤及び支店へ出張する際の交通 手段として使用する旨主張するので、社長の出張旅費の支給実績を検討したところ、交通費は支給されていない事実が認められる

 

原処分庁は、本件車両は事業の用に供された実績が明らかでなく、イタリア製の高級スポーツカーで一般社会常識から見ても個人的趣味の範囲内のものであり、同族会社ゆえにできる行為であると主張するが、

 

そうであるとしても、現実に請求人の事業の用に使用されていることが推認できる以上は、原処分庁の主張を採用することはできず

 

また、代表取締役社長が請求人とは別に外国製の車両3台を個人的に所有しており、請求人の減価償却資産としていないことを併せ考えると、請求人が本件車両を資産として計上していることを不相当とする理由は認められず、

 

本件車両に係る減価償却費等を損金の額から減算した原処分及び本件車両の取得費等を役員賞与と認定した原処分は、いずれも取り消すのが相当である。」

 

高級品は「個人利用」とみなされやすいので注意

ただし、上掲のような家事使用按分一覧と同様、購入品、個人的嗜好が高いと社会通念上目されているものに関してはより詳細なエビデンスを証拠保全する必要があります

 

①出張旅費規程を作成、その通り運用

上記裁決では、実際に出張旅費規程があり、日帰り出張(支店巡回)の場合は、交通費を支給しないという規程通りの運用がなされていました(ただし宿泊料・日当・通行料は支給されていました)。

 

②出張(支店・営業所への巡回も含む)の際には運転記録を作成しておくこと

運転記録は、事業の用に供していることを明確に証明できる資料として重要です。なお、当局調査では車両走行距離まで確認されるケースもあります。それも記録として残しておきます。

 

③完全な私用で車を持っている場合は、明確に公私の区別をしておくこと

なお、個人事業主に限定されず、法人においてのオーナー(代表者)関連費用についても上掲の一切が該当します。

 

 

伊藤 俊一

税理士

 

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