(※写真はイメージです/PIXTA)

2023年上期、中国の自動車輸出台数は日本を抜き「世界一」となりました。これに対して米国やフランス、トルコなど世界各国が「対中ブロック」を仕掛けるなか、ドイツだけは各国の「対中政策」を批判しています。世界の潮流を無視してドイツが「親中」を貫くのはなぜか、株式会社武者リサーチ代表の武者陵司氏が解説します。

中国はもう成長しない…“賭け”を続けるドイツの行く末は

このように見てくるとドイツ企業の対中投資double down戦略は危険な選択であることがわかる。

 

ドイツ企業は対中投資の引き上げを、「Local for Local戦略(現地需要に現地生産で対応する)」と「中国ビジネスの絶縁(insulation)」で正当化しようとしているとWSJは報じているが、その論理には無理がある。

※ WSJ:The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)。米国最大の発行部数を誇る経済新聞。

 

上述したように、中国の自動車市場はもう成長しない、中国で生産が増えるとすれば、それは輸出圧力を強めるだけである。

 

また第二次世界大戦当時米国企業は、敵国に存在した海外子会社、たとえばドイツフォード、ドイツGM(オペル)を資本関係を維持しつつも、経営を本国から切り離しヒットラーに戦争協力させることで存続させた。

 

その米国企業に倣い中国ビジネスを本国から切り離すという戦略も意味をなさない。財産権に対するリスペクトがない共産党体制は、財産権を温存したヒットラーほど甘くはない可能性が濃厚である。そもそも中国においては利益を国外送金ができるかどうか、保証の限りではない。

 

出所:CRUグループ
[図表6]需要を大幅に上回る中国バッテリー工場計画(FT) 出所:CRUグループ

 

いま中国の自動車輸出はブームであるがいずれ地政学の壁にぶつかるだろう。となると中国での生産体制を増強させているドイツ自動車会社は、墓穴を掘ることになりかねない。三菱自動車の損切戦略と、ドイツ自動車企業のDouble down(難平買い)戦略のどちらが賢明か、答えは単純ではない。

 

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武者 陵司

株式会社武者リサーチ

代表

 

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※本記事は、武者リサーチが2023年10月3日に公開したレポートを転載したものです。
※本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。

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