今回の相談者は、仕事のパフォーマンスに対して手取り金額が少ないと嘆く大手医療機器メーカーのエリート営業マン。「税金対策」のために賃貸経営を始めますが、後に、自身が大規模な詐欺事件に巻き込まれていることに気づきます。本稿では、株式会社JKASの「不動産投資に困ったときのあなたの街の相談窓口」代表を務める中村悠樹氏が、相談事例に基づき不動産業界に跋扈する詐欺の手口について解説します。
「情報弱者」をねらった詐欺的スキーム
この事件の手口は、真の居住者に月5万円で貸している物件を、買主に対しては「サブリース賃料9万4,000円・マスターリース賃料8万500円の“良物件”」と、いわゆる「逆ザヤ」状態になっていることを説明せずに購入させ、頃合いをみて借地借家法を盾にサブリースを一方的に解約するというもの。
仮に、月に3万円も収支が上昇すれば、当然それに伴って利回りが上昇し、物件の売買時の価格を900万円程度上昇させることも可能です。被害者は、市場価格を大幅に上回る金額で物件を買わされてしまったのです。
リテラシーがあれば見抜ける手口ですが、不動産取引に精通していない「情報弱者」をねらった詐欺的スキームといえます。
不正利用の発覚で自己破産寸前に…
そして、本橋さんはさらに地獄に突き落とされます。郵便物のやりとりなどから、「フラット35」を使用して購入した物件が「投資用」だということが住宅金融支援機構に知られてしまったのです。
機構からは「不正利用」を指摘され、後日、残債一括返済の催告書が届きました。
本橋さんは目の前が真っ暗に。「自己破産しかないのか…」。そんな考えが脳裏をよぎり、眠れない日々が続いたといいます。
それでも本橋さんは、この状況をなんとか打破できないか、食い入るようにネット検索をし続けます。すると、同様の被害に遭った「被害者同盟」があることを知り、リーダーに接触。本橋さんはいま同盟に加わって、事件解決に向けて尽力しています。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
■入所一時金が1000万円を超える…「介護破産」の闇を知る
■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走
株式会社ミライノユウ希
代表取締役
株式会社ミライノユウ希 代表取締役
JKAS不動産投資に困ったときのあなたの街の相談窓口 代表
【経歴】
大学卒業後、株式会社大塚商会に勤務。主に複合機のセールスで支店TOPセールス、全国セールス年間賞に6年連続入賞を果たす。その後、リクルート、シスコシステムズと大手2社を経験。
学生時代、父親が不動産に失敗して22億円の借金を抱え破産。自宅の売却と引越し、両親の離婚を経験し、「自分自身は不動産での失敗をしたくない」との思いを強める。
30歳のとき不動産業に挑戦。人格者である社長の人柄に惚れ、東京・国分寺市の株式会社エイゼットに入社し、買取再販・売買賃貸仲介・リフォーム・宅地開発・分譲に携わる。
その後、自宅を含め、不動産を5件購入。不動産業会社員を約6年間経験した後、リフォーム・不動産売買仲介を主事業とする株式会社ミライノユウ希を設立。
「カボチャの馬車事件」の被害者代表である一般社団法人ReBORNs冨谷皐介氏とタッグを組み、不動産投資詐欺被害者の救済活動にも当たっている。
趣味は空手。
2020年2月 株式会社ミライノユウ希を設立
2020年 株式会社JKASの代表・西上正通氏と出会い、JKASに加盟
2022年 株式会社JKAS「不動産投資で困ったときのあなたの街の相談窓口」代表に就任
【保有資格】
宅地建物取引士
二級建築施工管理技士
二級土木施工管理技士
JKAS不動産投資で困ったときのあなたの街の相談窓口 HP
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載不動産の“お困りごと”解決のスペシャリスト集団が解説!トラブル回避のための基礎知識