※画像はイメージです/PIXTA

身寄りのないいとこが亡くなった際、いくら血縁者であっても遺産を勝手にもらうことはできず、家庭裁判所を通じた手続きが必要になります。ただし、生前の対策があれば家庭裁判所の手続きをしなくてもよくなります。みていきましょう。

いとこは相続人ではない

身寄りのないいとこがいる場合、その人の遺産を相続することはできるのでしょうか。答えは「いいえ」で、法律上はたとえ血縁があってもいとこは相続人として認められていません。

 

相続に関するルールを定める民法では、亡くなった人の遺産を相続できる人は次のように定められています。

 

●必ず相続人になる:配偶者

●第1順位:子供(養子も含む。子供が亡くなっている場合は孫)

●第2順位:父母(父母が亡くなっている場合は祖父・祖母)

●第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥・姪)

 

配偶者がいれば必ず相続人になり、次いで第1順位の人が相続人になります。第1順位の人がいなければ第2順位の人が相続人になり、第2順位の人もいなければ第3順位の人が相続人になります。

 

 

亡くなった人に配偶者や第1順位から第3順位の人がいない場合では、相続人はいないことになります。たとえば、亡くなった人が未婚の一人っ子で親はすでに他界したケースがあてはまり、事例は少ないものの珍しいことではなくなっています。

特別縁故者として申し出れば遺産をもらうことができる

身寄りのないいとこがいる場合、何もしなければその人の遺産を相続することはできませんが、一定の要件を満たして手続きをすれば遺産をもらうことができます。

 

相続人がいない人の遺産相続では、身の回りの世話をしていたなどの特別縁故者に遺産を分け与えることが認められています。つまり、特別縁故者として申し出ればいとこの遺産をもらうことができます。

 

身寄りのない人の遺産のゆくえ

身寄りがいない、つまり相続人がいない人の遺産は、最終的には国に納められます。

 

ただし、すぐに国に納められるわけではなく、次のような順序で1年程度の時間をかけて手続きが進められます。手続きでは、債権者や受遺者(遺産を譲るよう遺言で指定された人)、特別縁故者に遺産が与えられ、それでも余った場合に国に納められます。

 

●相続財産清算人の選任

●債権者・受遺者への支払

●相続人がいないことの確定

●特別縁故者に対する分与

●国庫への帰属

 

特別縁故者として遺産をもらうためには

相続人がいない人の遺産相続の手続きでは、債権者や受遺者の後で特別縁故者に遺産が与えられます。特別縁故者が遺産をもらうためには、相続人がいないことが確定してから3か月以内に家庭裁判所に「相続財産分与の申し立て」を行います。

 

ただし、申し立てをすれば誰でも特別縁故者として認められるわけではありません。特別縁故者にあたるかどうかは家庭裁判所が個別のケースに応じて判断しますが、次のいずれかの要件を満たしていることが必要です。

 

●亡くなった人と同一生計にあった人

●亡くなった人の療養看護に努めた人

●前記2項目に準じて特別の縁故があった人

 

いとこの特別縁故者として認められるには、同居あるいは生活資金を仕送りするなどして生計を同じくしていたか、療養看護をしていたなどといった事実が必要です。単にいとこであるというだけで特別縁故者として認めてもらうことは難しいでしょう。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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