家族間の使い込みを未然に防ぐには? 家族信託を利用すれば、弁護士を監督人に就けることも可能
では、Aさんはどうしていれば姉の暴挙を未然に防ぐことができたのでしょうか?
親が元気なうちは任意後見や家族信託
親がまだ元気であれば、任意後見や家族信託の契約を結んでおくのがよいでしょう。
任意後見は、本人の判断能力があるうちに、信頼できる人を後見人として契約を結ぶ方法です。その後認知症になったとしても、あらかじめ決めていた後見人が、財産の管理を行います。
家族信託も、家族など信頼できる人を受託者として財産管理を任せる方法です。弁護士などの専門家は受託者になれませんが、監督人には就任できます。任意後見よりも柔軟な定めが可能であり、死後のことも決められる点がメリットです。
認知症になったあとは法定後見
認知症になったあとは、法定後見制度を利用します。
裁判所に選任された成年後見人が財産管理を行うため、不正な遺産の使い込みを防止できます。専門家が成年後見人に選任されるケースが多いです。
早めの対応が不可欠!
遺産である預金を他の相続人に引き出されていたとしても、残念ながら「横領罪」や「窃盗罪」では処罰できないケースが多いです。
お金を取り戻すためには、訴訟提起が必要になる場合もあります。請求には時効があるため、期間内に請求しなければなりません。
取り戻しも可能であるとはいえ、トラブルになってから対応するのは大変です。親の状態を生前から把握しておき、事前に備えるのがベストと言えます。
相続の前後を問わず、弁護士への依頼も検討して、早めに対応するようにしましょう。
(出典)
日本弁護士連合会:地方裁判所の通常民事訴訟事件における弁護士の関与状況
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/statistics/data/white_paper/2018/3-1-3_tokei_2018.pdf
大山 慧
リード法律事務所 代表弁護士
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