(写真はイメージです/PIXTA)

2023年7月のASEAN主要6カ国の輸出は5カ月連続の前年割れ。また、ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、東南アジア向けが同23.4%減、EU向けが同13.1%減と、2ケタ減となりました。本稿では、ニッセイ基礎研究所の斉藤誠氏がASEANの貿易統計(9月号)について解説します。

タイの貿易収支と輸出伸び率

タイの7月の輸出額(通関ベース)は前年同月比6.2%減(前月:同6.4%減)の221億ドルとなり、10ヵ月連続の前年割れとなった(図表5)。

 

輸出の基調は昨年半ばまでコロナ禍からの経済活動の再開や世界的な電子機器の需要増加、国際商品市況の上昇などから増加傾向が続いたが、その後は海外需要の鈍化や一次産品価格の下落により減少傾向で推移している。

 

また輸入額は前年同月比11.0%減(前月:同10.3%減)の241ドルとなり、2ヵ月連続の2桁減となった。結果として、貿易収支が▲19.8億ドルとなり、前月の+0.6億ドルから赤字化した。

 

輸出を品目別にみると、全体の約7割を占める工業製品が同1.7%減(前月:同2.7%減)と2ヵ月連続で減少した(図表6)。製造品の内訳を見ると、自動車・部品(同17.1%増)と家電製品(同4.7%増)は増加したものの、石油化学製品(同20.7%減)や電子製品(同5.0%減)、金属・鉄鋼(同4.4%減)、機械・装置(同1.3%減)がそれぞれ減少した。

 

また鉱業・燃料は同37.6%減(前月:同26.9%減)となり、石油製品(同38.2%減)を中心に大幅な減少が続いた。このほか、農産物・同加工品は同8.9%減(前月:同7.8%減)となり、3ヵ月連続で減少した。農産物・同加工品の内訳をみると、コメ(同18.8%減)とドリアン(同8.5%増)は増加したものの、天然ゴム(同37.8%減)やゴム製品(同18.2%減)、加工食品(同13.4%減)など減少した品目が多かった。

 

マレーシアの貿易収支と輸出伸び率

マレーシアの7月の輸出額(通関ベース、ドル換算)の伸び率は前年同月比15.8%減(前月:同18.4%減)の254億ドルと低迷、5カ月連続の前年割れとなった(図表7)。

 

輸出の基調は昨年半ばまでコロナ禍で停滞した経済活動の再開や電気電子製品、石油ガス製品の需要拡大を追い風に増加してきたが、その後は世界的な需要減退と商品価格の下落により伸び悩み、年明けから減少傾向が続いている。

 

また輸入額も前年同月比18.5%減(前月:同22.8%減)の217億ドルと減少した。結果として、貿易収支が+37.3億ドルの黒字となり、黒字幅は前月から17.9億ドル縮小した。

 

輸出を品目別にみると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同1.1%増(前月:同3.4%減)となり、主力の電気・電子製品(同3.9%増)を中心に増加した(図表8)。しかし、鉱物性燃料は同46.4%減(前月:同36.5%増)と2カ月連続で大幅に減少した。鉱物性燃料の内訳をみると、石油製品(同49.9%減)と天然ガス(同41.6%減)、原油(同23.1%減)が揃って減少した。このほか、コロナ特需が終息したゴム手袋(同33.8%減)や動植物性油脂(同36.0%減)、化学製品(同20.3%減)なども減少が続いた。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年9月8日に公開したレポートを転載したものです。

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