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相続人不存在とは「亡くなった人に法定相続人がいないこと」をいいます。生涯結婚することがなく子供も兄弟姉妹もいない場合や、法定相続人になるはずだった人が全員先に亡くなっていた場合では、法定相続人がいないため相続人不存在となります。また、法定相続人がいても全員が相続放棄した場合も相続人不存在となります。このような場合、亡くなった人の遺産はどうなるのでしょうか。みていきましょう。

相続人不存在となる前に遺言で準備をしておこう

ここまでお伝えしたとおり、相続人不存在となった場合の相続手続きは、家庭裁判所を通した手間のかかるものとなります。法定相続人となる予定の人がおらず、自身が亡くなったときに相続人不存在となる可能性が高い人は、生前に遺言を書いておくことをおすすめします。

 

遺言は「公正証書遺言」で

遺言には、おもに「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。「自筆証書遺言」は一人だけでいつでも書くことができますが、形式の不備で無効になったり、偽造されたりする恐れがあります。手間と費用はかかりますが、公証役場で公証人に作成してもらう「公正証書遺言」が確実です。遺言を書いたことを、周囲の人に伝えておくことも忘れないようにしましょう。

 

遺言の内容にも注意

遺言を書くときは、遺産の漏れがないように気をつけましょう。遺言に書かれていない遺産があれば、その遺産について相続人不存在の相続手続きをしなければなりません。遺言には、与える遺産の割合を定める「包括遺贈」のほか、どの遺産を誰に与えるかを指定する「特定遺贈」があります。包括遺贈であれば遺言から遺産が漏れる心配はありません。複数人に与える場合でも、割合があわせて100%になれば大丈夫です。

 

●特定遺贈を定めた遺言の例:「下記の土地を〇田〇男(住所△△△)に遺贈する」

●包括遺贈を定めた遺言の例:「遺産の2分の1を〇山〇子(住所△△△)に包括遺贈する」

 

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相続人不存在となるケースは、いままではあまりなじみがなかったかもしれません。しかし、これからは少子高齢化やライフスタイルの多様化によって、相続人不存在となるケースは多くなると予想されます。

 

相続人不存在となった人の遺産は、債権者、受遺者、特別縁故者に分配されたのち、余った部分は国庫に納められます。これらの手続きは自動的に行われるものではなく、利害関係者が家庭裁判所に申し立てをしなければなりません。

 

法定相続人となる人がおらず、自身が亡くなったときに相続人不存在となる可能性が高い人は、生前に遺言を書いておくことをおすすめします。特定の人に遺産を全部与える遺言があれば相続人不存在とはなりません。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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