迫る「円安阻止介入」の限界ライン…市場が一気に警戒感を強めた「神田財務官の発言」【国際金融アナリストが予想】

9月12日~18日「FX投資戦略ポイント」

迫る「円安阻止介入」の限界ライン…市場が一気に警戒感を強めた「神田財務官の発言」【国際金融アナリストが予想】
(※画像はイメージです/PIXTA)

足元の米ドル/円は、2週間以上続いたレンジを上放れ、一段と円安が進みました。このようななか、市場では日本の通貨当局による「円安阻止介入」への警戒感が強まっていると、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏はいいます。なぜ148円を前に市場の警戒感が強まったのか、昨年の類似局面と神田財務官の発言を紐解きながら、今後の米ドル/円の動きについて吉田氏が予想します。

今週の注目点…CPIなど米インフレ指標の発表

今週は、CPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)といった米国のインフレ指標の発表が予定されています。また、小売売上高など注目度の高い米景気指標の発表も続きます。今のところの主な予想値は以下の通りです。

 

  • 米8月CPI(前年比)……前回3.2%、予想3.6%
  • 同コア指数(前年比)……前回4.7%、予想4.3%
  • 米8月PPI(前年比)……前回0.8%、予想1.5%
  • 同コア指数(前年比)……前回2.4%、予想2.2%
  • 米8月小売売上高(前月比)……前回0.7%、予想0.2%

 

CPI、PPIとも、総合指数は前年比上昇率が前回より上昇、一方で変動の大きいエネルギーなどを除いたコア指数は前年比上昇率が前回より下落するとの予想になっているのは、最近にかけての原油価格上昇などの影響と考えられます。

 

米景気は、足元である7~9月期のGDP前期比年率予想について、定評の高いGDP予測モデルであるアトランタ連銀、GDPナウが8日更新したところでも5.6%といった具合に記録的に高い水準を見込まれる状況が続いています。

 

その意味では、景気の過熱を抑制するべく利上げはまだ続く可能性がありそうですが、その割に9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では利上げ見送りとの見方が強くなっているようです。これは、インフレ改善が続いているためと考えられますが、今週の米国のインフレ指標や景気指標の結果は、9月FOMC見通しを決める上で重要な役割を果たすことになりそうです。

 

米ドル/円の行方は、かなりの割合で日米金利差、とくに米金利の動きで決まってきました(図表3参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表3]米ドル/円と日米10年債利回り差(2023年4月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

その意味では、今週の米ドル/円の行方も基本的には米金利動向次第となるでしょう。そして「米金利上昇=米ドル高・円安」が続いた場合は、円安阻止介入再開の可能性も高まりそうです。

 

以上を踏まえると、今週の米ドル/円は米ドル高値波乱含みの展開で、145~150円中心での展開を想定したいと思います。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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