(※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、チーフリサーチストラテジスト・石井康之氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。「アジアリサーチセンター」のレポートを基に、中国を中心に8月のアジア・マーケットを振り返ります。

【ポイント①】8月のアジア・オセアニアリートは下落、日本リートは上昇

■8月のグローバル・リート市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの観測から米長期金利が上昇したことや、中国不動産大手の破綻申請を受けて中国経済への不安が高まったことから、調整しました。

 

[図表1]各国・地域のリート指数騰落率

 

■グローバル・リート市場(先進国)の8月のリターン(現地通貨ベース)は▲2.4%の下落となりました。主な内訳は、米国が同▲3.0%、欧州が同▲2.0%、アジア・オセアニアが同▲1.1%となりました。一方、日本は、7月の日銀による長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正後も長期金利の上昇幅が限られたことを受けて、同+1.5%の上昇となりました。

 

■アジア・オセアニア市場の8月リターン(同▲1.1%)を主な内訳でみると、シンガポールは同▲3.1%、オーストラリアは同+2.2%、香港は同▲10.7%でした。中国の不動産市場悪化への懸念から香港が大幅に下落した一方、追加利上げ観測が後退したオーストラリアは上昇しました。

 

■アジア・オセアニア市場の年初来騰落率をみると、現地通貨ベースでは+1.9%の上昇となりました。グローバルの同+3.9%や米国の同+5.2%、日本の同+3.1%に比較すると、やや出遅れています。

 

[図表2]アジア・オセアニアのリート指数の推移

 

■一方、円ベースでみたアジア・オセアニア市場の年初来騰落率は+9.0%となりました。各国・地域の利上げにより、日本との金利差が拡大したことを背景に円安が進行したため、為替効果が大きくプラスに寄与しました。グローバルのリターン(同+13.7%)には及ばないものの、日本の同+3.1%を大きく上回っています。

【ポイント②】中国の不動産大手の経営危機で香港リートが一段安

■香港リート市場は年初、中国のゼロコロナ政策の終了に伴う中国景気の回復期待から急上昇しましたが、その後不動産市場の低迷や米中対立の激化で海外投資家の売りが膨らみ、大きく下落しました。8月に入ると、中国不動産大手の「中国恒大集団」が米国で破産申請したことや、最大手の「碧桂園控股」の決算に伴う経営不安の高まりを受け、不動産市況悪化への警戒感が改めて広がり、一段安となりました。

 

■中国当局は8月31日、不動産市場てこ入れのため、新たな不動産支援策を打ち出しました。実需に絞って住宅購入者の頭金の要件や、2軒目を買う人を対象に住宅ローン金利の下限を引き下げました。

【今後の展開】アジア・オセアニアリートは底堅い景気を背景に持ち直しへ

■アジア・オセアニアリート市場は、FRBの利上げが最終局面に近いとみられるなか、アジアやオーストラリア経済が底堅く推移する見込みであることから、緩やかに上昇するとみています。同リート市場の配当利回りは高く、10年国債利回りとの比較でみたスプレッドは相対的に割安感があるため、投資家のリスク選好姿勢が高まれば、見直されると思われます。香港リート市場は、当面中国の不動産市場への懸念から振れが大きくなるとみられますが、中国政府の不動産支援策や、主要銘柄のバリュエーションが割安で、運営状況も堅調なことから、徐々に落ち着きを取り戻すとみています。

 

■日本リート市場は、国内景気の回復の動きが続くなか、オフィスの空室率がピークアウトすることが期待されることや、日銀のYCC修正により金融政策の不透明感が後退し、今後も大規模な緩和政策が続くとみられることから、緩やかに上昇するとみています。

 

[図表3]リート市場の配当利回りと10年国債利回り

 

(2023年9月7日)

 

石井 康之

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフリサーチストラテジスト

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『【中国・アジア・オセアニア市場】8月のアジア・オセアニアリートは「中国不動産への懸念」から“調整”…今後の展開は?三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジストが解説』を参照)。

 

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