家賃5万円のアパートの隣に「タワマン」…生活保護受給者とお金持ちがごちゃまぜで暮らす「日本の光と影」

家賃5万円のアパートの隣に「タワマン」…生活保護受給者とお金持ちがごちゃまぜで暮らす「日本の光と影」
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本の公立小学校では、富裕層と貧困層の子供が同じ教室で学んでいます。このように、日本は海外と比べ、居住区の特徴と貧富の差は不明瞭になのです。こうした状態は、一体なにを生み出しているのでしょうか? 本記事では、石井光太氏の著書『本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式』(文藝春秋)より、同氏が17歳の若者にもわかりやすく、日本の貧困の実態について語りかけます。

日本の貧困層への福祉制度

ここではわかりやすく、生活保護を受給して生活している人を例にとって考えてみたい。

 

生活保護という制度は、仕事につけず、財産も支援者もない人たちが生きていけるように国が生活に必要なお金を提供するためにある。金額は、その人の置かれている状況によって違うけど、シングルマザーで小中学生くらいの子供が2人いれば、おおむね月に20万円以上もらえる。

 

今、日本ではどれくらいの人が生活保護を受給して暮らしているか想像つくかな。答えは、約205万人、163万世帯(平成31年3月統計)。これは、長野県の総人口に匹敵するくらいの数だ。

 

貧困層と富裕層が「ごちゃまぜ」に暮らしている日本

日本における貧困の特徴は、貧しい人たちだけが暮らす地区が目立った形であまり存在しないことだ。

 

海外では居住区の特徴や貧富の差は露骨なまでにはっきりとしている。この地区は移民の人たち、この地区はイスラム教の人たち、この地区は億万長者の人たち、この地区は不法占拠の家に住んでいる人たちといったように、居住区ごとに住民の特徴や貧富の差が明確だ。

 

ところが、現代の日本ではそうしたことが外国ほど見られない。かつては在日朝鮮人・韓国人部落だとか、被差別部落といったものがあったけど、少しずつそうしたものが減っていき、現在では一つの地区に多様な階層の人たちが交ざり合って住むようになった。

 

たとえば、東京都の世田谷区は一般的に高級住宅地のイメージが強いけど、大きな邸宅のすぐ近くに家賃5万円台のアパートや公営住宅団地もあれば、ごく普通の賃貸マンションもある。

 

外国人にしても、有名外資系企業に勤める高所得者もいれば、水商売をしているシングルマザーもいる。逆もしかりだ。

 

東京都台東区には、「山谷(さんや)」と呼ばれる日雇い労働者がたくさん暮らす地区がある。格安の簡易宿泊所が密集していて、道路や公園にはホームレスの人たちがあふれんばかりに住み着いていて、昔から貧困エリアと呼ばれてきた。

 

でも、駅前には大きなタワーマンションがあるし、少し歩けば浅草やスカイツリーにたどりつく。もちろん、タワーマンションに住んでいるのは富裕層だ。

 

世田谷区や台東区の例からわかるように、このように「ごちゃまぜ」が可能になっているのは、日本人の言語(方言)や文化が似ていることに加えて、福祉制度がしっかりしていることがあげられるだろう。

 

その制度の代表格が生活保護だ。この制度の中には住宅扶助という仕組みがあって、住む場所によってそれなりの住宅費が出ることになっている。つまり、生活保護を受けてさえいれば、東京都だろうと、福岡県だろうと、沖縄だろうと、どこでも暮らすことができる。

 

この結果、どういうことが起こるのか。もし君が私立ではなく、公立の小中学校へ行っていたとしたら、クラスメイトの親を思い出してもらいたい。会社を経営しているお金持ちのお父さんをもつ子から、公務員の両親をもつ子、あるいはパートをしているシングルマザーの子までいたよね。

 

つまり、高所得層から低所得層までが一つの教室で机を並べて同じ時間をすごすことになるわけだ。ここには、いい面と悪い面とがある。

 

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次ページ富裕層と貧困層が「ごちゃまぜ」で起こること

※本連載は、石井光太氏の著書『本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式』(文藝春秋)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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