(※写真はイメージです/PIXTA)

いつまで続くかわからない物価高。生活が困窮する人も増えていますが、その代表が低賃金のケースが多い一人親世帯。統計データによると、日本の一人世帯の半分は貧困層に該当することがわかります。本記事では石井光太氏の著書『本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式』(文藝春秋)より、同氏が17歳の若者にもわかりやすく、日本の貧困の実態について語りかけます。

一人親世帯の「2世帯に1世帯」は貧困層

日本では、どういう層が貧困層にあたるのだろう。一般的にいわれるリスク要因としては、「ひとり親」「非正規雇用」「低学歴」「病気」などだ。

 

とくに一人親世帯の場合は、2世帯に1世帯が貧困層となっている。日本では、女性が一人で働きながら育児をしていく環境がまだ十分に整っていない。離婚した女性が幼い子供を一人で育てようとしても、きちんとした会社に正社員として再就職することが難しい。残業ができないとか、子育てで仕事を休みがちになると考えられて、敬遠されがちなんだ。会社の方も、そういう女性をバックアップしようとする意識やシステムがまだ足りていない。

 

非正規シングルマザーの給与の実態

そうなると、女性はパートや契約社員といった非正規雇用で働かざるをえない。非正規雇用の一番の問題は、給料の低さだ。下の図表3を見てほしい。正規雇用の平均年収は約495万円であるのに対して、非正規雇用は約176万円にしかならない。

 

[図表3]雇用形態別、性別の平均年収

 

図表4の年齢別の月収を比較すると、特に40〜50代の格差が著しいことがわかる。しかも、図表5にあるように、女性の場合は年収200万円以下が全体の約4割で、100万円以下だけでも約15%にのぼる。

 

[図表4]雇用形態、性、年齢階級別の月収比較

 

[図表5]給与階級別の人数と構成比

 

ちなみに、年収150万円で20年間働いたとして、稼げるお金は3000万円だ。世間では子供一人を成人まで育てるのに、2000万〜3000万円かかるといわれていることを考えれば、非正規雇用の家庭の生活が成り立たないのは明らかだよね。

 

貧困は「いけないこと」なのか?

知ることで未来が変わる…
貧困の最前線
 

 

ここで一つ考えてもらいたいことがある。君たちは漠然と「貧困はいけない」と教えられてきた。収入が低ければ、生活を成り立たせるのは大変だ。でも、貧しくたって幸せな家庭を築いて、毎日を楽しくすごしている人たちだっている。

 

じゃあ、貧困の何がいけないんだろう。

 

認識を一歩深めるために、こんな質問を投げかけてみたい。今の日本で、貧困は何を生むのだろうか。ヒントを出せば、人の心の中に生まれるものだ。だんだんと大きくなっていって、その人を壊してしまうもの。

 

答えを言おう。「自己否定感」だ。自己否定感を言い換えれば、「劣等感」「あきらめ」「自暴自棄」でもある。生きている価値を見出せずに、将来についてもどうでもよくなってしまうことだ。どうして貧困の中で、人は自己否定感をかかえてしまうのだろう。それを理解するには、日本の貧困のあり方について考えてみる必要がある。

 

 

石井光太

作家

 

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※本連載は、石井光太氏の著書『本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式』(文藝春秋)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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