(※写真はイメージです/PIXTA)

企業の利益は、企業の「売上高」から「諸費用」を引くことで求められますが、そこから企業の健全性や収益性を判断したり、今後の経営方針を検討したりするには、数字を正しく読み取ることが必要です。どのような視点が必要なのでしょうか。元メガバンカーで経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

操業停止を検討→「固定費」「変動費」の切り分けも変化する

もっとも、操業を停止することを考えると、固定費と変動費の切り分けが変わってくるかもしれません。店を閉じれば空調の費用やアルバイトの時給は不要になるからです。店を借りる費用も不要になるかもしれません。

 

そうなると、「客が1人しか見込めないのに、アルバイトを雇って空調をきかせるのはもったいない。店を閉じよう」という判断も出てくるでしょう。アルバイトの時給等も変動費になり得るわけですね。

 

実際には、店を借りる契約が3年契約等になっていて、途中で解約するのは難しいかもしれませんし、正社員は簡単にクビにするわけにはいかないでしょうから、店を借りる契約の更新時期までは営業を続け、契約を更新せずに店を閉じる、といった場合も多いのでしょう。

 

余談ですが、店を続けることを前提で考える場合と、店を閉じることを前提で考える場合には、考えるべきことがいろいろと変わってきます。たとえば、買ったばかりの新車は、会社を閉じる場合には中古車として安く買い叩かれるでしょうが、会社が営業を続けている間はしっかり利益に貢献してくれる有難い存在だ、といった具合です。営業をやめるか否かの判断をする際には、そうしたことも考える必要があるかもしれませんね。

「食べ放題の店」が儲かるフシギも、固定費&変動費で説明可能

世の中には食べ放題の店が数多くあります。来てほしい少食の人は来ないで、来てほしくない大食いの人ばかり来店するのに、どうして倒産しないのか、不思議に思っている人も多いかもしれませんね。

 

そういう疑問を持った人は、固定費と変動費を分けて考えると、食べ放題の店がなぜ倒産しないのか、理解できるかもしれません。

 

大食いの客が定食2人分の料金を払って定食3食分を食べるとします。客は2人分の料金で3人分が食べられて満足ですが、店も満足なのです。収入は3,000円で、材料費は1,500円ですから、客が1人くるたびに固定費の赤字が1,500円も減るからです。

 

食べ放題の店が儲かる理由はほかにも多数ありますので、詳しいことは別の機会に詳述します。

 

今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。

 

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塚崎 公義
経済評論家

 

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