(※写真はイメージです/PIXTA)

2019年に行われた内閣府の調査によると、日本における「ひとり親世帯」の子どもは「2人に1人」が貧困となっており、ひとり親世帯の経済状況は厳しい状況にあることがわかります。親としては、そんな娘や息子を助けたいという思いが生まれますが、年金暮らしでも援助は可能なのでしょうか? 牧野FP事務所の牧野寿和CFPが、具体的な事例をもとに解説します。

年金暮らしのAさんとひとり親の娘…家計収支の見通しは?

筆者が話を聞いたところ、Aさんは今後の生活費が、娘は息子の教育資金が心配な様子。Aさんによると、娘は「自分の収入は極力子どもの将来のために貯めたい」と言っているそうです。

 

そこで筆者はAさんと、今後の家計収支と孫の教育資金について試算することにしました。

 

勤めていた会社を60歳で定年退職し、退職金1,500万円と10年確定の企業年金を月額10万円受け取っているAさん。65歳からは老齢厚生年金も受給しています。ただし、企業年金の受給は間もなく終了し、70歳からは老齢厚生年金232万円(月額19万3,300円)の受給のみになります。

 

とはいえ、ひとり暮らしになってからいままで、毎月15万円ほどで生活しているAさんは、旅行費用などの不足分は貯蓄から補えば、100歳までは現在の生活が続けられそうです。したがってAさんの家計は、収入が支出を上回っているため不足額(家計の赤字)はありません。

 

※ 厚生労働省「2022年家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支は、年金などの実収入が13万4,915円である一方、生活費などの消費支出14万3,139円と社会保険料などの非消費支出1万2,356円を合わせ支出は15万5,495円と、収支は2万580円の不足となっている。

 

また、娘の現在の年収は260万円※1です。Aさんと娘の収入を合算すると年間492万円※2となり、当面の生活は成り立ちそうです。

 

※1 厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要」によると、母子世帯の平均年間収入は272万円

※2 母子世帯の同居親族を含む世帯全員の平均年間収入は、373万円(出所:同上)。

 

生活が成り立つことがわかりほっと一安心のAさんですが、「孫の教育費をできるだけ貯めたいという娘の思いに応えたい」といいます。そのためには、生活費など「3人での生活で予想される支出額」を改めて見直すことが必要です。

 

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※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。
〈参照〉

・文部科学省「高校生等への修学支援」
(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/index.htm)

・独立行政法人日本学生支援機構HP
(https://www.jasso.go.jp/index.html)

・文部科学省「高等教育の修学支援新制度」
(https://www.mext.go.jp/kyufu/student/daigaku.html)

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