(※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。

 

●パウエル議長は、インフレはまだ高すぎ、必要なら追加利上げ、引き締めスタンスの継続を明示した。

●発言にややタカ派的な部分もみられたが、政策判断はデータ次第で会合毎に決める意向は不変。

●今後、経済指標の強弱で市場は過度な反応も、9月FOMCで今回より詳細な政策方針確認へ。

パウエル議長は、インフレはまだ高すぎ、必要なら追加利上げ、引き締めスタンスの継続を明示した

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は8月25日、米ワイオミング州ジャクソンホールで開催された経済シンポジウム、「ジャクソンホール会議」で講演を行いました。市場では、金融政策の先行きについて何らかの手掛かりが示される可能性が高いとの指摘も多く、関心が集まっていました。そこで今回のレポートでは、パウエル議長の主な発言について要点を整理し、今後の米金融政策の見通しと金融市場への影響について考えます。

 

講演のテーマは「Inflation: Progress and the Path Ahead」で、インフレについて、これまでの経過と先行きの見通しが解説されました(図表1)。パウエル議長は冒頭、「インフレがピークから低下したことは歓迎すべきだが、まだ高すぎる」、「適切と判断すれば追加利上げを行う用意があり、インフレが目標に向かって持続的に低下していると確信するまで、政策を引き締め的な水準に据え置く」と述べており、これがほぼ今回の結論といえます。

 

[図表1]パウエル議長の主な発言の骨子

発言にややタカ派的な部分もみられたが、政策判断はデータ次第で会合毎に決める意向は不変

先行きの見通しについて、パウエル議長は「(新型コロナウイルスの)パンデミック(世界的大流行)関連の歪みがさらに解消することで、インフレにはある程度の下押し圧力が続くが、引き締め的な金融政策がますます重要な役割を果たす」とし、「インフレを持続的に2%まで低下させるには、潜在成長率以下の経済成長と、労働市場の軟化が必要である」と明言しました。この辺りの発言は、ややタカ派的な印象を受けます。

 

また、政策効果が経済に遅れてあらわれる不確実性に加え、今回のパンデミックによる需給の混乱という不確実性が、政策のかじ取りを複雑にしている点を指摘しました。そして、「今後の会合で、データの全体像および経済見通しとリスクに基づき、政策の進捗を評価」し、「この評価に基づき、さらに引き締めを行うか、政策金利を据え置き今後のデータを待つかを慎重に決める」と述べました。この見解は従来通りのものでした。

今後、経済指標の強弱で市場は過度な反応も、9月FOMCで今回より詳細な政策方針確認へ

以上より、パウエル議長は、やはり政策の方向性をあらかじめ示すことはありませんでしたが、ややタカ派的なトーンを交えつつ、追加利上げと据え置きはデータ次第で決める方針が改めて確認されました。弊社は米金融政策について、11月に0.25%の最後の利上げが行われ、来年7-9月期に利下げの開始を予想しており、米経済の軟着陸(ソフトランディング)を見込んでいます。

 

このシナリオでは、急激な米長期金利の上昇と大幅なドル高・円安の進行は回避され、株式市場にも好ましい環境が期待されます。なお、FRBがデータ次第としている以上、この先、雇用や物価関連の指標に市場が大きく反応することもあり、注意が必要です(図表2)。また、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、最新の経済見通しなどで今回の講演よりも詳細な政策方針が確認できると思われ、いつも以上に注目が集まるとみています。

 

[図表2]目先の重要イベントと注目点

 

(2023年8月28日)

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『「インフレはまだ高すぎる」…“パウエル議長の主な発言”から考える「米金融政策の見通し」と「金融市場への影響」(ストラテジストが解説)』を参照)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

 

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