(※写真はイメージです/PIXTA)

債権者が債務者を裁判所に呼び出し、債務者の財産について陳述させる「財産開示手続」。以前は債務者に対する罰則の弱さが問題視されていましたが、2020年4月の法改正によって罰則や申立権者の範囲が拡大されました。本記事では、「財産開示手続」とは何か、法改正の背景や、法改正によって何が変わったのかについて、特定行政書士である中島美春監修のもと解説します。

法改正後の手続きの手順・必要書類等

ここでは、それぞれの手続きの手順・必要書類等について解説します。

 

財産開示手続の手順・必要書類

財産開示手続は、債務者の現在の住所地を管轄する地方裁判所に申立てます。申立て~財産開示期日まで1ヵ月程度かかります。手続きの流れは次の通りです。

 

1.確定判決や調停調書、仮執行宣言付支払督促、公正証書等、強制執行の際に必要な書類があるかチェック

 

2.申立て書類の収集・作成

 

3.地方裁判所に申立て

 

4.期日前の準備:債務者は期日の約10日前に財産目録を提出・債権者は質問書を提出

 

5.財産開示期日:裁判所が債務者へ質問、その後に申立人またはその代理人(弁護士)が債務者へ質問も可能

 

6.強制執行の手続きへ:得た情報を用い強制執行の段階に進む、財産記録の閲覧も可能

 

提出する主な必要書類は次の通りです。ケースによっては追加の書類が必要となる場合もあります。

 

・財産開示手続申立書

 

・当事者目録

 

・請求債権目録

 

・財産調査結果報告書

 

・収入印紙2,000円:郵便局やコンビニ等で取得

 

・予納郵便切手6,000円分:郵便局やコンビニ等で取得

 

・その他:執行力のある債務名義の正本、住民票等

 

財産開示手続申立書、当事者目録、請求債権目録、財産調査結果報告書は地方裁判所の窓口かHPで取得できます。

 

裁判所ホームページ「財産開示手続を利用する方へ

 

第三者からの情報取得手続の手順・必要書類

第三者からの情報取得手続も、債務者の現在の住所地を管轄する地方裁判所に申立てます。手続きの流れは次の通りです。

 

1.申立て書類の収集・作成

 

2.地方裁判所に申立て

 

3.審理開始:要件が満たされていると判断されたら、裁判所は情報提供命令を発令

 

4.裁判所は申立人へ情報提供命令正本を送付

 

5.情報提供命令が確定後、第三者へ情報提供命令正本を送付

 

この申立てと同時に還付申請をすれば、原則として債務名義正本等は最初提出された情報提供書の写しに同封して申立人へ送付され、強制執行の準備が進められます。

 

提出する主な必要書類は次の通りです。ケースによっては追加の書類が必要となる場合もあります。

 

・第三者からの情報取得手続申立書

 

・当事者目録:第三者目録含む、原本・写しも提出

 

・請求債権目録:原本・写しも提出

 

・所在地目録:不動産情報の場合のみ必要

 

・財産調査結果報告書

 

・債務名義等還付申請書

 

・その他:財産開示期日実施証明申請書(不動産情報・勤務先情報のみ)、住民票等

 

第三者からの情報取得手続申立書、当事者目録、請求債権目録、所在地目録、財産調査結果報告書、債務名義等還付申請書は地方裁判所の窓口かHPで取得できます。

 

なお、予納郵便切手・予納金等は細かく設定されています。下表を参考にしてください。

 

 

裁判所ホームページ「第三者からの情報取得手続を利用する方へ

 

手続きは弁護士に依頼

申立人本人だけでこれらの手続きは可能です。しかし、収集する証拠種類や提出する書類はとても多いため、素人が一人で対応するのは大きな負担となります。

 

そのため、法律の専門家である弁護士に手続きを依頼した方が無難です。弁護士の助力のもとで冷静に強制執行への準備を整えることができるはずです。弁護士への報酬は10万円以上かかるものの、円滑な債権回収のため是非検討してみましょう。

 

 

記事監修

中島 美春

なかしま美春行政書士事務所/特定行政書士/相続診断士

 

株式会社サステナブルスタイル

後藤 光

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