「パンが売れない夏」に「来店客数10%増加・売上8~12%アップ」…経営危機のベーカリーチェーンが「夏場を乗り切れた」ワケ

「パンが売れない夏」に「来店客数10%増加・売上8~12%アップ」…経営危機のベーカリーチェーンが「夏場を乗り切れた」ワケ

「25度はアイスが売れ、30度は氷菓が売れる」...気温や天候によって客の心理は大きく変化し、売上にも影響が出ます。本記事では、ローソン在籍時に「Pontaカード」や「コンビニ業界初のセルフレジ」を発案し実現させた市原義文氏の書籍『アイデアをお金に変える「マネタイズ」ノート』(三笠書房)より一部抜粋し、気温や天候によって変化する客層心理について、実際の事例をもとに解説します。 

気温を利用して成功した総合ベーカリーチェーンの事例

筆者が、総合ベーカリーチェーンの経営立て直し支援で行なった実例を紹介します。もともとこのチェーンは、売上の下落に歯止めがかからない状況でしたが、夏場はさらに厳しさを増します。唾液がパンに吸い取られるような印象があるのか、夏はパンが売れないのです。夏場をどう乗りきるかは死活問題でした。

 

そこで注目したのが気温です。「25度になるとアイスクリームが売れる」という一般論を応用してみました。アイスクリームの触感に近いクリームを開発し、メロンパンに挟んでみました。また、クリームにザラメを入れることで、氷のような冷たさを感じてもらう工夫をしました。さらに、できあがったパンを冷蔵しておくことで、ヒンヤリとした触感を保つようにしました。これは、大変ご好評をいただきました。

 

このようにお客様の気温に対する心理の変化に着目して商品開発や販売方法を工夫することで、「夏場にパンは売れない」という常識に立ち向かったのです。結果は上々でした。日差しの強さがまだ弱い早朝と夕方を中心に、来店客数が約10%増加したのです。

 

多くのお客様は、少しでも「涼」を感じたいと思っていたようで、この新商品を目当てに来店されました。来店されれば、「ついで買い」にもつながります。結果的に、通常の夏場と比較して、ベーカリーチェーン全体の売上は8~12%程度も上昇しました。つまり、「夏場にパンは売れない」という打つ手なしと思われた常識に、勝てるやり方を1つ獲得できたのです。

 

[図表1]気候、気温とお客様心理の関係は?

 

人の何気ない行動の裏には、「気温」や「天候」が大きく作用しているものです。
「数字」と「お客様心理」をあなたのアイデアづくりに応用してみてください。

 

 

市原 義文

株式会社シャイン&コー代表取締役社長

経営コンサルタント

 

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