ローソンがコンビニ業界で初めて導入した「セルフレジ」は、20%の売上アップをもたらしました。その要因はどこにあったのでしょうか。当時、ローソンでセルフレジの開発を担当した市原義文氏の書籍『アイデアをお金に変える「マネタイズ」ノート:新商品、新事業をつくる人は、最初にどこを見ているのか?』(三笠書房)より一部抜粋して紹介します。 

◆不要なものを引き算してイメージを作る

制約条件と現状がわかったら、いよいよ「引き算」で考えていきます。お客様のメリットを中心にして、不要なものを引き算しながら、新たなセルフレジのイメージをつくっていくのです。

 

当時、コンビニに寄せられるクレームの半数以上は、レジに関するものでした。特に多かったのは、時間がかかりすぎることへのクレームです。そこで、お客様を中心に考えたメリットが、あっという間にレジ操作が終わり、時短につながるセルフレジでした。

 

現状のPOSレジに備わった機能を1つずつ吟味し、制約条件と照らし合わせながら、不要だと思われる機能が書いてあるポストイットを剥がしていきます。

 

・引き算1:ムダな機能をやめる(酒やたばこ、公共料金支払いなどはやらない)。

・引き算2:レジ横における使用スペースA4サイズにする。

・引き算3:投資は最小限にする(ソフトウエア以外は既存品を流用)。

・引き算4:現金支払いは受けつけない。

・引き算5:レシート出力は選択制にする。

・引き算6:袋詰めはお客様ご自身で行なう。

 

こうした引き算の発想で生まれたのが、「コンビニ業界初のセルフレジ」です。コンビニエンスストアは、あらゆることを「できる」ようにすることで、便利さを追求してきました。しかし、セルフレジはこれまでとは「真逆の発想」から生まれたのです([図表1]参照)。

 

[図表1]引き算で新しい発想が生まれる

 

セルフレジを導入した効果はてきめんでした。店舗内の商品数は何も変わらないのに、ただセルフレジを1台置いただけで、売上が20%アップしたのです。レジ待ちに不満をもっていたお客様、特に、ランチタイムで買い上げ商品1、2個程度のお客様にはとても効果的でした。長蛇のレジ待ちに嫌気がさしていたお客様が、率先してセルフレジを利用してくださったのです。

 

お客様のメリットを中心に「引き算」することで、画期的なアイデアがつくれるという好例です。ぜひ、アイデアを組み合わせる際に参考にしてみてください。

 

市原 義文

経営コンサルタント

株式会社シャイン&コー代表取締役社長

 

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アイデアをお金に変える「マネタイズ」ノート:新商品、新事業をつくる人は、最初にどこを見ているのか?

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市原 義文

三笠書房

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