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財産を生前贈与してかかる贈与税は、贈与の方法を工夫すれば贈与税が安くなる場合があります。財産を贈与された人が払う税金が安くなれば、活用できる財産が増えるので、生前贈与をする際には節税について十分に検討しておきたいところです。本稿では、税理士法人ブライト相続の天満亮氏監修のもと、生前贈与の手続きの流れや税金を安くする方法、不動産や現預金、株式を生前贈与するときの注意点について解説します。

家や土地など不動産を生前贈与するときの手続き方法と注意点

不動産を生前贈与する場合、現預金の生前贈与とは違って登記が必要です。また、税金面では贈与税以外の税金が課税されます。

 

1.法務局で登記をする必要がある

不動産の所有者情報は、法務局が管理する登記簿に記載されています。生前贈与によって不動産の所有者が贈与者から受贈者に変わる場合、登記簿上の所有者を受贈者に変更するため登記が必要です。家や土地を生前贈与する場合、次のような流れで手続きを進めます。

 

1.必要書類を揃える

 

2.登記申請書を作成する

 

3.管轄の法務局に書類を提出して登記申請を行う

 

4.登記識別情報通知(権利証)を受け取る

 

登記申請書は法務局のサイトからダウンロードできます。また不動産の生前贈与では主に以下の書類が必要になります。

 

 

登記をせず受贈者が所有者として登録されていないと「売却や担保権の設定ができない」「第三者に対して権利を主張できず対抗できない」など、不利益を被る可能性があります。そのため、不動産の生前贈与では速やかに登記を行うことが大切です。

 

2.登録免許税や不動産取得税がかかる

家や土地の生前贈与では、贈与税以外に登録免許税や不動産取得税もかかるため、現預金の生前贈与に比べると受贈者の費用負担は重くなる傾向にあります。不動産だけを贈与すると受贈者が税金の支払いで困る場合は、納税資金に充てるための現預金も合わせて贈与することを検討してみてください。

 

登録免許税は不動産の価格に税率2%をかけた金額、不動産取得税は不動産の価格に税率3%(住宅以外の家屋は4%)をかけた金額です。ただし、生前贈与で取得する不動産が宅地の場合は、不動産取得税を計算する際に土地の価格の2分の1の額に税率をかけ合わせます。

 

登録免許税は法務局で登記をする際に納付し、不動産取得税は都道府県で申告・納税の手続きを行います。不動産取得税の納期限は、不動産を取得してから10日以内や30日以内など、都道府県によって異なるので個別に確認するようにしてください。

株式を生前贈与するときの手続き方法と注意点

株式を生前贈与する場合、現預金の生前贈与とは違って名義変更の手続きが必要になります。また、株価の変動リスクによって受贈者が損失を被る可能性がある点にも注意が必要です。

 

1.上場株式と非上場株式では手続きの流れが異なる

上場株式を贈与する場合は、贈与者がその株式を保有している証券口座から受贈者の証券口座に株式を移管する手続きが必要になります。移管の手続きは証券会社経由で行うので、まずは、贈与者が株式を保有している証券会社に連絡して手続き方法を確認してください。受贈者がその証券会社に口座を持っていない場合は、口座開設の手続きが必要です。

 

非上場株式を贈与する場合は、発行元の会社に連絡して株主名簿の書き換えを依頼します。譲渡制限のある株式の場合には贈与することを会社に承認してもらう必要があるので、発行元の会社に対して譲渡承認の請求を行います。

 

2.贈与後に株価が下がって受贈者が損失を被る場合がある

株価が高いときに贈与して贈与後に株価が下がると、贈与財産としての価値が高く計算されるために受贈者が負担する贈与税が高くなり、株価の下落によって受贈者が損失を被ることになります。

 

一方、株価が低いときに贈与して贈与後に株価が上がった場合は、受贈者が負担する贈与税が安くなるうえに値上がりによって利益を得られます。そのため、株式を生前贈与するときには、株価の値動きを踏まえて贈与する時期を決めましょう。

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