(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、マネックス証券株式会社が2023年7月14日に公開したレポートを転載したものです。

短期逆張りスタンスでよかったボックス相場の終焉

実は日本株相場の基調は10年以上も前から長期上昇トレンドであった。アベノミクス相場がスタートする直前の2021年10月末を起点とすれば日経平均はおよそ4倍になり、米国株をも上回るパフォーマンスだ。それでも、このあいだ、一本調子で右肩上がりだったわけではなく、しばらくボックス圏でもみ合ったあと、ようやくレンジを上に抜けてはまたボックス圏でのもみ合い……という推移を繰り返してきたのであった(図表)。

 

出所:Bloomberg
[図表]日経平均株価の推移 出所:Bloomberg

 

だからであろう、上がったら売って、下げたら買う、つまり短期逆張りのスタンスが個人投資家の習い癖になってしまった。それはこれまでのレンジ相場ではうまくいったかもしれないが、大きくステージが変化する局面では機能しないどころか失敗するリスクが高い。そしていまがまさにその局面である。

 

「日経平均4万円」の根拠…成長期待の高まりが株高の背景【ストラテジストが解説】で述べたことをよく理解してほしい。これまではおカネを貯める一方で投資をしてこなかった日本企業がいまやヒト・モノに投資し、成長へと舵を切り始めた。これは真の意味で「80年代バブル崩壊の終焉」と捉えることができる。

長期的に捉えるスタンスが求められる

前掲のレポートで述べたことをもう一度、繰り返そう。日経平均が史上最高値をつけた1989年末、すなわちバブルのピークは企業の投資意欲も旺盛で資金不足のピークでもあった。そこからバブル崩壊⇒経済縮小に平仄を合わせるように企業の資金不足は解消され、そして90年代半ばの日本版金融危機を経て、金融機関に頼れなくなった企業は自らファイナンス機能を維持するようになる。

 

すなわち、おカネをひたすら貯め、減価償却の範囲内でしか設備投資を行わない。企業の投資不足が日本の低成長の原因だった。それはもとを辿れば、バブル崩壊の後遺症といえるだろう。

 

その状況が変わり始めたのである。大きなステージの転換局面と考えられる。したがっていまは短視眼的に相場を捉えるのではなく、より大きなスコープで、より高い視座で相場を長期的に捉えるスタンスが求められる。まさにout-of-the-box(既成の枠を破ること)が必要だ。

 

短期ではレンジ相場となっても、すぐにまた上に抜けていくような展開になるだろう。ダブルトップの話に戻れば、その2つの天井もそれほど時間が経たないうちに払ってまた高値へと向かうと思う。

 

 

広木 隆

マネックス証券株式会社

チーフ・ストラテジスト 執行役員

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

■入所一時金が1000万円を超える…「介護破産」の闇を知る

 

■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧