(※画像はイメージです/PIXTA)

経済産業省は、2023年7月5日、同月3日現在のレギュラーガソリンの1リットルあたりの全国平均小売価格が172.5円だったと発表しました。172円台に達するのは約1年ぶりです。主な要因は、石油元売事業者等に支給される国の補助金の補助率が9月の終了へ向け引き下げられたことです。そこで気になるのが1リットルあたり53.8円徴収されている「ガソリン税」です。本記事では、このガソリン税について解説します。

「トリガー条項」は発動されず

上述の2010年の法改正の際、同時に、「トリガー条項」が設けられました。これは、連続する3ヵ月の平均小売価格が1リットル160円を超えた場合に、特例税率の適用を停止する(本則税率の1リットル28.7円が適用される)というものです。

 

現在の状況は、本来であれば、この「トリガー条項」の適用場面です。

 

しかし、このトリガー条項は、現在に至るまで一度も発動されていません。

 

大きな原因は、2011年3月に東日本大震災が発生したことです。復興のための財源を確保しなければならないということで、「東日本大震災の復旧及び復興の状況等を勘案し別に法律で定める日までの間、その適用を停止する」ということになりました(「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」44条参照)。

 

このように、ガソリン税が「1リットル53.8円」になっている理由は、法令上「特例税率」が維持されていることと、本来ならば高騰を抑えるために機能する「トリガー条項」の適用が2011年以降、凍結されていることによります。

 

政府は、原油価格の高騰を受け、当初、「トリガー条項」の発動も視野に入れていました。しかし、結果として「トリガー条項」の凍結を解除せず、一時的な「補助金」で対処することを選びました。

 

その背景には、上述したように、ガソリン税が国の貴重な税収の一つとなっていることがあるとみられます。

 

すなわち、2022年2月に、金子総務大臣(当時)は、「トリガー条項」を発動した場合、地方自治体の税収が1年間で約5,000億円減少するという試算を明らかにしています。

 

しかし、トリガー条項発動の一時的な代替措置を果たしたともいえる燃料油価格激変緩和補助金も、9月に向けて段階的に縮小され、いずれは終了します。そして、原油の高騰は今後も収まる気配がない以上、新たに何らかの対応を迫られる可能性が高いといえます。

 

そんななかで、ガソリン価格の30%超という大きな割合を占めているガソリン税のあり方が、改めてクローズアップされる可能性が考えられます。

 

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