(※写真はイメージです/PIXTA)

もし親が認知症を患ったら、介護の費用等を工面するため、場合によっては親の家を売却したり親の預貯金をおろしたりする必要に迫られる可能性があります。しかし、認知症が進行した後では難しいでしょう。親の家の維持・売却をした経験をもとに、永峰英太郎氏が著書『親の家を売る。──維持から売却まで、この1冊で大丈夫!』(自由国民社)において、事前に打っておくべき手立てについて解説します。

親が認知症になったら「親の家の売却」「親の預貯金の出金」ができなくなる

親の家、親の預貯金は「親のもの」です。子供のものではありません。したがって、もしも、介護等の費用が足りなくなった場合に、最後の手段として親の家を売却したり、親の預金をおろしたりして費用を工面するのであれば、事前に親の意思を確認しておく必要があります。

 

しかし、もし、親の事前の了解を得られたとしても、認知症になり署名ができなくなると、親の家を売却することも、親の預金をおろすことも、不可能になります。

 

そこで、事前に手立てを講じておくことをおすすめします。

認知症初期段階で家の名義人を配偶者や子供に変える

まず、家については、認知症の初期段階で、名義人を配偶者や子供に変えておく方法があります。

 

認知症の症状は、ゆっくりと進行していくため、親の認知症が疑われた時点で、名義人を配偶者か子供に変更するのも一つの方法です。そうすれば、お金が必要になった時点で、家を売却できます。

 

ここで問題となるのが「贈与税」です。親から子供に家の名義人を変えるのは、家の贈与にあたり、贈与税が発生するのです。贈与税の税率は高く、例えば、土地と建物の評価額が1,000万円の場合、177万円にもなります。

 

子供に変更する場合、利用したいのが「相続時精算課税制度」です。2,500万円までの贈与が非課税になる制度です。

 

なお、この制度は、親が亡くなった時点で、その金額を含めて、相続税が課せられます。この点は注意が必要です。

 

[図表1]相続時精算課税制度

 

配偶者への変更は、2,110万円まで贈与税を控除できる「贈与税の配偶者控除」を利用します。

 

ただし結婚20年以上という条件があります。

 

※ 相続税には非課税枠や特例などがあるため、相続税対策としての活用には不向きです。
[図表2]贈与税の配偶者控除 ※ 相続税には非課税枠や特例などがあるため、相続税対策としての活用には不向きです。

親の預貯金について、親と話し合っておく

親の老後は、介護付き有料老人ホームへの入居も選択肢になります。このときは、親の家を売って、その資金に充てるケースも出てきますが、それには時間がかかります。

 

親の預貯金が多ければ、そちらを使うのが基本です。入院費用、親の生活費にも使えます。

 

◆銀行カードの暗証番号を聞いておく

それだけに、親と「〇〇のケースでは預貯金を使うよ」と話し合い、了承を得ておくことが大切です。かく言う筆者も、母の生前、母と話をしました。

 

しかしながら、筆者は、母が末期がんで危篤状態となったとき、お金は下ろせませんでした。銀行カードの暗証番号を聞いていなかったからです。

 

金融機関のカードやハンコの在り処だけでなく、暗証番号も聞き出しましょう。

 

また、親世代は定期預金を利用しているケースが多いのですが、親が認知症になれば、一切動かせなくなります。「子供です」と伝えても、一切応じてくれません。

 

その事実を親に話して、自動継続で契約しているのであれば、自動解約や満期前解約にしてもらうようにしましょう。

 

[図表3]把握しておきたい親の預貯金

 

[図表4]親の定期預金の解約手続きの進め方
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親の家を売る。──維持から売却まで、この1冊で大丈夫!

親の家を売る。──維持から売却まで、この1冊で大丈夫!

永峰 英太郎(著)・高橋 正典(監修)

自由国民社

◆「予備知識なし」は危険! 本書でしっかり知識を得てから取り組みましょう。 ◇予備知識なしで、親の家の維持や売却に挑むと、 相当な苦労や失敗をします。 また、税金や家の売却金額で損をするリスクも高まります。 …

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