<速報>国税庁、ついに「タワマン節税」を無効化!次の狙いは「不動産小口化商品」か【税理士が解説】

<速報>国税庁、ついに「タワマン節税」を無効化!次の狙いは「不動産小口化商品」か【税理士が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

富裕層の間でポピュラーな相続税対策の一つだった「タワマン節税(タワーマンション節税)」に関し、一部報道によれば、国税庁がマンションの相続税評価額の算定方法の新ルールを設ける見通しであることが判明しました。施行されればタワマン節税の旨味は大幅に失われます。タワマン節税の内容と問題点、導入されるとみられる新たな計算ルールの概要、今後考えられる税制改定の方向性について、税理士の黒瀧泰介氏が解説します。

タワマンの評価額が抑えられるしくみ

以上を前提に、タワマンの高層階にある居室の評価額が低くなるしくみのポイントを、建物と土地のそれぞれについて解説します。

 

【タワマンの高層階の相続税評価額のポイント】

・建物:高層階ほど「市場価格」と「相続税評価額」の乖離が大きい

・土地:1住戸あたりの敷地面積が狭いうえ「小規模宅地等の特例」を利用すればさらに大幅評価減

 

◆建物|高層階ほど「実勢価格」と「相続税評価額」の乖離が大きい

まず、建物の評価額です。

 

タワマンは高層階ほどプレミアがついて高値で取引されているという実情があります。

 

ところが、20階以上のマンションの建物評価額は、以下の式をみたすように各住戸に割り振られることになっています。

 

1階の評価額+0.25%×(階数-1)

 

なお、この計算式は、2018年以降に建設されたマンションに適用されるものです。以前はこのような計算式すらなく、低層階も高層階も均等に評価されていました。

 

上記計算式によれば、たとえば、58階建てのタワマンであれば、1階と最上階(58階)を比べると、最上階は1階と比べ14.25%しか高く評価されないということです。

 

したがって、タワマンの場合、高層階になればなるほど、実勢価格と相続税評価額との乖離が大きくなっていきます。

 

2023年1月31日に国税庁が開催した有識者会議の資料によると、東京都内の築9年・43階建てのタワマンの23階の住戸は、市場価格1億1,900万円のところ、相続税評価額が3,720万円と、乖離率3.2倍にもなっています(【図表】参照)。

 

国税庁「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について」資料P6より
【図表】マンションの市場価格と相続税評価額の乖離の事例 国税庁「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について」資料P6より

 

◆土地|1住戸あたりの敷地面積が狭いうえ「小規模宅地等の特例」を利用すればさらに大幅評価減

次に土地、すなわち敷地の面積の評価額です。マンションの場合、敷地の所有権は各住戸の床面積に応じて按分されます。

 

タワマンは住戸数が非常に多くなるので、1住戸あたりの敷地面積が狭くなります。

 

これに加え、「小規模宅地等の特例」を利用すれば、さらに「80%減」「50%減」になります。小規模宅地等の特例は、土地のなかでも特に「生活の糧」としての役割が大きいものについて、税負担を軽減する趣旨の制度です。対象となる土地(宅地)の種類と評価方法は大きく分けて以下の通りです。

 

【小規模宅地等の特例】

1. 被相続人が住んでいた家の敷地:80%減(330㎡まで)

2. 被相続人が事業を営んでいた建物の敷地:80%減(400㎡まで)

3. 被相続人が他人に賃貸していた建物の敷地:50%減(200㎡まで)

 

このうち、とりわけ「タワマン節税」に利用しやすいのは、「3. 被相続人が賃貸していた建物の敷地」です。

 

小規模宅地等の特例の適用を受けられる面積には上限があります。タワマンの場合、1住戸あたりの敷地面積が狭いので、タワマンの住戸を複数所有することで、「合計200㎡」の枠をたくさん利用できることになります。

タワマン節税の問題点

以上を踏まえ、タワマン節税には、富裕層の相続税対策としてメリットが大きく、相続税の税負担に不公平が生じているという問題点が指摘されます。

 

すなわち、タワマンの高層階の住戸には、前述のように、土地と建物のそれぞれについて以下の特徴があります。

 

・建物:高層階ほど「実勢価格」と「相続税評価額」の差に乖離が生じる

・土地:1住戸あたりの敷地面積が狭いうえ「小規模宅地等の特例」を利用すればさらに大幅評価減

 

このように、タワマンの高層階の住戸を所有すると、同じタワマンの低層階の住戸はもちろん、他の建物(戸建て住宅等)と比べても税負担が大きく抑えられることになるのです。

 

これでは、富裕層ほど相続税対策がしやすく、しかも、「節税」の効果が大きくなることになります。

次ページ最高裁判決の意義と今後の国税庁のねらい

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